愛し合っている人と、もしこの地球上で二人っきりになったら。この質問を友達に問うと必ずと言っても良いほど、「死ぬまでその人と添い遂げる」という答えが返ってきた。私の答えは今も今後も、「すぐに二人で心中する」を選ぶだろう。
だって愛してる人が私を死ぬまで愛してくれるとは分からない。それなら“スキ”の絶頂期で、私を一番に愛してくれてる時に一緒に死んだらその気持ちは確かなことだから。


▽△


「…お前何で二時限目サボってん。」
「なんとなく。数学の公式見たら眠たなるし結局授業中寝るんやったらサボっちゃえ…みたいな。」
「あほ。だから赤点とるんや。」


二時限目が終わったという合図のチャイムが聞こえて少したった後、光が不機嫌そうに屋上にやって来た。私はよく授業をサボる時保健室を利用していた。今日は気分で初めて屋上でサボってみた、風が気持ち良くて昼寝にはもってこいの場所だった(…でも紫外線対策しないと)。光は私が保健室をサボる為に使ってるのを知ってるから、まず私を探す時保健室に行ったんだろうなあ。光の首筋には汗が存在を主張していた、何かいやらしいよ光。私を探す為にそこら中歩き回ったんだろうなあ、それを想像するだけで私は光に愛されているんだと頬が緩んだ。


「なんやねん、きっしょい顔すんなや。」
「うっさいわ。私のこと探し回ってたくせに。」
「 一遍しばいたろか。…お前、どこでサボるか俺に言ってからサボれ。」
「そんなんサボるって言わんやろ。」


あ、チャイム。三時限目ってなんだっけ…あ〜理科の実験だ。数学に続けて嫌いな実験の授業、三時限目もサボろっかな。うんサボろう。光は私がこの場から動かないのを分かってたのだろうか、光もサボる気満々で私の隣に座った。光の匂いが風に乗って私の鼻腔に届いた、本当いつ嗅いでも良い匂い。汗臭い光なんて想像出来ないけど。部活後もデオドラントで汗をかき消してる匂いはしなくてナチュラルの光の匂いしかしない。私なんか体育の後や運動した後なんて尋常じゃないほどシーブリーズを体中に塗りたくる。光は羨ましいなあ、ほんと。


「なあ光。」
「なんや。」
「もし、もしな。地球上で私等しか存在してなかったら光はどうする?」
「どういう意味や。」
「死ぬまでその世界、二人で生きる?…それとも、心中する?」
「何で心中って選択肢があるねん。お前俺と生きるん嫌なんか。」
「ちゃう、ちゃうねん。光、あんな、」


“光が死ぬまで私を好きでいてくれるなんて分からへんやん。光に嫌われるなんてイヤや。それやったら私を好きでいてくれる今を大事にしたいもん。”
私がそう言葉を言い終えると同時に光に抱きしめられた。どくどくどく、光の鼓動なのか私の鼓動なのか、はたまた二人の鼓動なのか分からない心臓の音色がやけに心地良い。ああやっぱり光は良い匂い。大きく光の匂いを吸いこむと、ぽたりと涙がこぼれた。何でこんなに好きなんやろう、何でこんなに光のこと好きなんやろう。光に抱きしめられると嬉しくて苦しくて、私の光への“スキ”が溢れ出そうで怖かった。


「俺はお前が好きや、昔も今も未来も。…お前はどうなん?」
「わたしも、ひかる好き。ずっと。」
「せやろ?そんなおもんない未来考えるより今のこと考えとけ。」
「ひか、る。」
「好きや、愛してる。…これで十分やろ。」
「お、んっ!」


低体温の光がやけに温かい。耳元で私を優しく落ち着かせるように話す光にまた涙をこぼしてしまった。好きや、光が大好きや、愛してる。光の気持ちに答えたいのに私の口からは言葉ではなく嗚咽をもらすことしか出来なかった。言葉に出来ないなら行動で、ぎゅうっと光を抱きしめる力を強める。「暑いわあほ、」光の緩んだ声がしゅわしゅわと私の胸の中に溶けていった。






20110726
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