チョコの味
少し傷んでしまった金髪が、さらりと揺れる私はいつもこの瞬間身動きできない
身動きなんてするもんじゃない
彼の生きている証をそのまま受け取るんだから
薄く冷たい唇が触れる
甘い
甘い甘い、チョコレートの香り
チョコレートと、男の人の香り
気が付かない間に傷だらけになっていたメロの、痛みも焦燥も全部私に移して欲しい
今度は私がメロの手首を掴んで引き寄せて
唇の端をそっと舐める
「…チョコレートの味じゃないんだね」
「当たり前だろ」
当たり前か
外側だもんね
「味すんのはこっち」
メロが軽く口を開けて顔を近付ける
私は今から味わえる舌の味に興奮しながら目を閉じた
チョコの味