眠気
「眠い…」途端にメロの鋭い目がこちらを向く。
「お前昨日何時に寝た?」
「ナイショ」
微妙な沈黙。
イラっとしたんだろうな。
それがメロの可愛いところ。
「さっさと寝ろ。寝不足は身体に悪い」
「いつ寝てるか分かんない人に言われたくないですよーーだっ」
また沈黙。
今度はため息をついている。
メロの感情を刺激するのは楽しいけれど、それは構って欲しいから。
がっかりされたくは、ないな。
「怒った?今から寝るから許して?」
少し上目遣いで聞いてみる。
メロはそれを見てたじたじになったりしない。
メロが今考えていること。
考えてくれていること、は私がどうやったら早く寝るか。
「明日の朝どんなひどい顔が見られるか楽しみだな」
捨て台詞を吐きながらメロが廊下に出てどこかに行ってしまう。
あーぁ、行っちゃった。
バタンと閉められたドアの茶色、その木目を見つめながら私の心はふくふくと温かくなる。
あの愛しい人は、今から私のお気に入りの、うんと温かい毛布を持って戻ってきてくれる。
メロから手渡されるそれは、きっととびきり温かいだろう。
眠気