クリスマス・プレゼント
「愛しいと」それは突然聞こえてきた大好きな彼の声。
「…思っています」
囁くように耳に入ってきたそれは、嘘か真か判別する間も無くふわりと消えて。
夢、
ではない。
優しく撫でてくれるきちんとした感触を伴って、夢みたいな愛の言葉が、私の前髪に、頭の中に、枕元に降り注ぐ。
「好きです」
そうっとまつ毛の上をすべる指先も
「独り占めしたい」
頬を包む熱も
「ので、あまり気安く笑顔を振りまかないこと」
そして静かに溢れたため息も全部
「と言っても無駄なんでしょうけど」
正真正銘ニアのものだ。
ああどうしよう。ごくりと喉を鳴らさぬよう、もぞりと体を動かさぬよう。
全身全霊をかけてこの時を味わうのに、必死!
窓際から差し込む月明かりが薄れていく。
視界が暗くなっていく。瞑った瞼越しにも分かる。
普段のニアが嘘みたいに優しい、柔らかくて温かいキス。
二度、三度、少し離れては角度を変えて、熱が増したり引いたりする。
このまま腕を回して抱きつきたい。
そんな衝動を抑えていたら、おでこにラストのキスが降り注いで。
「…プレゼントです」
ありがとニアサンタさん。
これはシャイな彼からもらう、最高のクリスマスプレゼント。
「…満足したらいい加減ゆっくり寝てください。ではまた明日」
おっと!
擦れるパジャマの裾の音を聞きながら慌てて訂正。
これは”観察力鋭い彼”からもらう、最高のクリスマスプレゼントだったのだ。
クリスマス・プレゼント