秋だね。ニア編
「ここにいると季節が分からないねぇ。」「常に一定ですから。」
「そういうのって身体に影響しないのかなぁ。」
ふと浮かんだ疑問をそのまま口に出す。
「温度差が激しいよりましでしょう。」
ニアが答える。
…そうかもねぇ。
「だけど、ニアと一緒にお外歩きたいな。」
「そうですか。」
あ、またー。やる気のない、流すだけの返事。ちぇっ。
「落ち葉の色、踏んだ時の音。少し乾燥した空気に、心地よくなった風も」
ニアと一緒に分かち合えたら、幸せだなって思うの。
「それはいわゆる、」
ニアが口を開いた。
「秋、ですね。」
うん。
「秋、だね。」
ねぇニア。
冬になる前に、
本当に寒くなってしまう前に、
私たち、
寒い振りをして側にいようね。
*end*