home's_16 | ナノ
朝の風景
「ぐっもーにん…」

「…」

寝転んだまま朝の挨拶をすると、・は至福の顔を浮かべた。

「はは…いいな。」

「何が??」

私は質問する。本当に分からないのだ。

「ナナが言う英語はネイティヴとは違うから。寝覚めに聞いてもすぐ君だと分かる。」

「む。」

それって私の英語が拙いってこと?

せっかく努力してるのに、何だかなぁ。

でも・は勘がいい。

私が何に気を悪くしたかすぐに感じ取って、背を向けても後ろから優しく抱きしめてくれる。


「その可愛い言い方がいいの。これからもずっとそうして?」

「…」

喉まで上がっている拗ねた言葉が飲み込まれる。
こんなの、反則。


「もっと英語うまくなっちゃうかもしれないもん。ずっとこのままは無理かも。」

それでも少しあまのじゃくに返事をする。

「…じゃあ誰とも喋らせないでおこうかな。ナナが他の人と親しくなったら困るし。いっせきにちょう。」

わざとらしく日本のことわざを言いながら体制を整えた・の、柔らかく甘い、吐息のような囁きが耳元で聞こえる。

「そんなこと、・はしないでしょっ」

言葉を返すと、

「ごめん、冗談。ナナの声ならどんな言葉でも愛しいよ。起こしてくれてありがとう。」

「…」

恥ずかしさと幸福が入り混じって、コクリ、と頷くだけになる。

「そういうところがいじらしくて可愛い。離れたくなくなるよ。」

・はまたこちらをくすぐるような言葉をかけながら、ベッドから抜け出し着替え始める。

「ふふ…厳しい上司がいる職場に行きたくなくなった?」

私は彼がどんな職務についているのか、トップシークレットな事態に関わっているとのことで詳しくは知らない。

「ああ…嫌なこと思い出した。」

じとーっと恨むような目線を送られ、私もベッドから降りる。

ネクタイを締めてあげ、頬にキスする。

「待ってる。」

「無事を祈ってて。」

「勿論!」

にっこり笑いかけると、きつく抱きしめられる。

いつも、そう。

何か命に関わる仕事をしているんだろうな、と何となく分かる。

だから私も抱きしめ返す。

「さ、動こ?」

「はーい…。」

少し甘えた・の背中を押して寝室を出る。

今日も彼を待つ長い1日のはじまり。


*end*
PREVTOPNEXT

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -