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ベッドの上
悲しくて寂しくて眠れない夜はあの場所へ行くに限る。
メロ様様の部屋に入る特権を有する私だけが入れる場所、メロのベッドの上。

急なトラブルに巻き込まれ、帰国が遅れると連絡をもらったのが2日前。
今日まで頑張ればメロに会えると期待していた気持ちの落としどころが見つからず、いてもたってもいられなくて、彼の痕跡を求め乗り込むことにしたのだ。

部屋に足を踏み入れて奥を臨めば、ほら。

ぴしっと整えられたシーツに綺麗に畳まれたケット。几帳面なメロらしい。素敵。
ベッドに膝を乗せ、ケットを広げる。スプリングの反動と風の動き。
上下に包まれてみれば、なんて至福!!なメロの香り。

すごい。部屋もそうだけど、寝具にまで甘い香りが染みついてる。
でもメロの身体そのものからはいつも、ムスクみたいなちょっと色っぽい匂いがするのよね。不思議。捉えきれない。

あれはきっと肌そのものから香ってるんだろうな。

首のあたりにキスすると、いつも同じ匂いがするもの。

それに、こうやってメロが抱きしめてくれる時も。髪の隙間から漂ってくる。


…?

こうやって抱きしめてくれる時?


「……?」

「…おはよう」
「……!?」

やたらと感覚がリアルだと思って目を開けたら、視界が全部肌色で息が止まるかと思った。

「め、めろだ」
「ただいま」
「はだか」
「あー…さすがに今回は疲れた」

ぐでっと腕と足で覆って、メロは私を抱き枕のように抱きしめる。
どうやら下は履いている模様。そういえば窓の外がいつの間に、非常に明るい。

「あれ?朝?ん??」

混乱する私の頭にべたべた頬を擦り付けたメロはふっと息を漏らして笑う。

「やっと帰れたからシャワー浴びて、今休むとこ」
「わ!本当!?疲れたでしょう、何か食べる?」

起き上がろうとしたら手首を掴んで止められてしまった。
言われてみれば、触れたメロの肌も髪も湿度が高い。
いつもよりしっとりして、なんというか、芳醇。

「ダメ。疲れ取ってるところだからナナは行かせない」

瞼を閉じたまま話すメロは、本当に眠たそうだし、本当に心地よさそう。
こんな姿を見てしまったら、この場所を飛び出すことなんて到底できっこない!

もう一度寝るよう促された私は、お言葉に甘えて二度寝することを決める。

身を寄せてみるシャワー直後のメロの腕の中は、ほのかなシトラスの香りがした。
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