home's_16 | ナノ
ベッドの上
すっかり元気がなくなってしまった。

理由はあれこれあるけれど、ひとつには到底絞れない。

その中に1個長く巣食ってる悩みもあるのよ。

ニアが最近忙しすぎる、とかそういうの。

もう、しばらく肌に触れることすらできていない。

顔には出していないつもりだったけれど、探偵さんの前で隠し事はできないみたい。

カードキーを渡されて「後ほど行きます」って。

時折入れる、ニアのプライベートルーム。彼自身滅多に入っている様子がない。
眠っている時だけなんじゃないかなぁ。

お言葉に甘えて先に入るベッドの中は、それだけでニアに包まれているみたいに幸せ。

ころんと横になって布団をかけると、リッチなホテルのような上品な匂いに包まれる。

ちょっと変態ちっくかな、と思うけれど、枕に思いきり顔を伏せる。
むわっと濃厚な香りがして、ニアの頭がここに触れてるんだと胸がドキドキする。
研ぎ澄まされた強さで何でも洗い流してしまいそうだと、ずっとずっと神経を集中させていると、謎を秘めた森の中へ迷い込んでしまったような、不思議な感覚になる。

こんなにも特別な場所へ立ち入らせてくれることに、安心感のようなものが芽生えていく。


ニアはきっと、全て分かっているんだ。


私が何に悩んでいるかも。

それをどうすれば解決できるかも。
PREVTOPNEXT

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -