ベッドの上
すっかり元気がなくなってしまった。理由はあれこれあるけれど、ひとつには到底絞れない。
その中に1個長く巣食ってる悩みもあるのよ。
ニアが最近忙しすぎる、とかそういうの。
もう、しばらく肌に触れることすらできていない。
顔には出していないつもりだったけれど、探偵さんの前で隠し事はできないみたい。
カードキーを渡されて「後ほど行きます」って。
時折入れる、ニアのプライベートルーム。彼自身滅多に入っている様子がない。
眠っている時だけなんじゃないかなぁ。
お言葉に甘えて先に入るベッドの中は、それだけでニアに包まれているみたいに幸せ。
ころんと横になって布団をかけると、リッチなホテルのような上品な匂いに包まれる。
ちょっと変態ちっくかな、と思うけれど、枕に思いきり顔を伏せる。
むわっと濃厚な香りがして、ニアの頭がここに触れてるんだと胸がドキドキする。
研ぎ澄まされた強さで何でも洗い流してしまいそうだと、ずっとずっと神経を集中させていると、謎を秘めた森の中へ迷い込んでしまったような、不思議な感覚になる。
こんなにも特別な場所へ立ち入らせてくれることに、安心感のようなものが芽生えていく。
ニアはきっと、全て分かっているんだ。
私が何に悩んでいるかも。
それをどうすれば解決できるかも。