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ハウスの24時
AM6:00

寝ぼけ眼をこすりながらベッドから出る。

起こして欲しいと頼まれた場合だけ起こしに行く。

あとはみんな自由に起きる。

と、言っても。


Lはいつ寝てるのか分からない程ほとんど起きているし、

ニアもまたL程ではないけれどよく朝方まで部屋の明かりがついている。

メロはたまに…部屋は暗いのに入ると起きていることがある。

マットはゲームしたまま寝ているので叩き起こ…

いや、優しく布団をかけてあげる。


廊下に出るとやはり。

起きているのは今日はLだけのよう。



暗い部屋のうちメロだけは声をかけに行こうかな。


special Thanks! to you**


AM7:00

キッチン。

早起きした朝にポットから上がる蒸気が心地よい。

まだ少しだけぼんやりした身体に、ホットのラズベリーティー。

甘酸っぱさが喉を伝って心も目覚めていくよう。

「俺も。」

メロが口を開く。

俺も=俺も飲みたい=ラズベリーティー


ではなく、私はココアを用意する。

「サンキュ」

メロは文句無しといった様子で受け取る。

少し殺風景なキッチンに、二人きりの朝。


special thanks! to you**


AM8:00

「何か飲む?」

ニアの部屋に入れば、いつ起きたやら既に床でパズルをやっている。

髪の毛、ボサボサ。

「梳かしたら怒る?」

「怒ります。」

「うそー怒ったニア見たことない。」

「そうですか。」

ニアは意味のない会話にリアクションを取ったりしない。

でも知ってるよ、ピースの進みが少しスローになってること。

「不愉快って顔なら何度も見てるけど。」

私は意地悪を言う。

「貴女に対してはほとんどしたことはないと思いますが。」

全く、ではなくほとんど、と正確に発言するところが彼らしい。

「ふふ…そうですね。」

ニアのお返事風に返す。

朝陽の眩しい白い部屋の中。


special thanks! to you**


AM9:00

「何で起こしてくれなかったのー」

唇をとがらせたマットが共有のリビングにひょこっと顔を現す。

「起こす程遅くはないし。マットの場合は。」

「そうだけど…」

「しかも起こしても起きてくれないし!」

「そうだけど…

でも俺は起こされたい!」

マットがこちらに近付いてくる。

「ふわっといい匂いさせながら、優しく揺すらされて起こされたい!」

私は無視して紅茶を飲み進める。

もう少ししたら子ども達の様子を見に行こうかな。

「俺の願い聞いてくれってーー」

しつこくワガママを言うマットに、甘い、優しい視線を向ける。

"早起きしなかった罰だぞっ" という表情で両ほっぺを掴む。

そしてマットの耳元で囁く。

「ふわっといい匂いに…優しさを持ち合わせた…

ワタリにお願いしとくね!」

言い終わると私は子ども達のいる部屋の方へ向かう。

「そうじゃなくって!!」

と声を上げているマットを背にしながら。


special thanks! to you**


AM10:00

子ども達は今日も勉強している。

今は集団授業中なので、同じ内容をみんなでやっているところ。

廊下からそうっと覗く。

私にはさっぱり理解できないようなハイレベルな問題を競い合いながら解く子ども達。

外で一緒に遊んでいる時とは全然違う表情だな…

私の大切な"彼ら"の小さい時に想いを馳せる。

ふと何か視界がざわつくことに気付き目を凝らすと、向かいにある監視カメラが不自然にうぃんうぃん上下に動いている。



…える。

いつ睡眠を取っているのかも謎だけど、私がどこにいるかを探り当てる能力の方もかなり謎だ。

私はおもむろに自分の身体に手を這わせる。

(盗聴器とか…ついてないよね?)

焦りながら身体を探り…そんなことをしても分からないんだけどね…と再び顔を上げれば、

「そんなことしていません。」

とでも言うかのように、監視カメラが今度は左右に動いていた。


special thanks! to you**


AM11:00

「やっと来てくれましたね。退屈してました。」

「いつから?」

「そうですね、8時頃目が覚めて、それからです。」

「嘘。6時に私が起きた時には部屋明るかったもん。」

「ではそのくらいからあなたを待って退屈でした。」

「はいはい。」

本当は朝方まで忙しかったのが分かる。

昨夜見た時より部屋がずっと散らかっていて、あれこれ資料を見たり通信した跡がこれでもかと残っている。

「退屈してないで少しは寝てください。」

「あなたは私と時間を共にしたくはないんですか。」

Lが指を咥える。

「身体が心配なの。」

「あなたに心配してもらえるとは光栄です。今夜も寝ないことにしました。」

「もう!」

本当に心配してるのに…。

疲労の心配なLに近づく。

肩を揉む…のは勝手にやるには勇気がいるけれど、それでもどうしても気になって、軽く肩に手を当てる。

「本気で心配してるのに。」

「あなたと話すだけでかなり疲れが取れます。こちらこそ本気です。」

Lが私の手を取って、ありがとうございます、と小さく添え軽くキスをしてくれる。

ここにずっと留まりたい気持ちと共に、今日はタルトが良さそうだ、と自然に浮かんでくる。

そうっとお互いに手が離れる。

「タルトはどうかな?取ってくる。」

と告げ、私はドアの方へ向かう。

後ろから「流石です。」と声が聞こえる。


special thanks! to you**
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