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可愛いって10回言って?マット編
「ナナ可愛い」

「はいっ!?


…あ、分かった。マット、罰ゲームか何かでしょ?」


可愛いって10回言って?
マット編**


「当たり。今からナナの可愛いと思うとこ言うね」

「全然照れてなかったら罰ゲームじゃないじゃん。それに何か私が恥ずかしいからいいっ!」

止める私をさらりと無視したマットは、組んだ足に肘をつく形で頬杖をして簡単そうに気軽に言葉を続ける。

「ナナの仕草が可愛い。ドリンク飲んでる時とか目が離せません」

「聞いてないし!」

「そして服が可愛い」

「そうかなぁ。あんまり自信ないよ」

「いや、ナナが可愛いから何着ても可愛く見える!」

「はぁ、ありがと」

「毎日頑張ってる姿も可愛い!健気!」

「あ、ありがとう。えへへ」

すらすらと褒め言葉を並べられて気恥ずかしいけれど、マットはいつも思っていることを口にしてるだけといった感じに飄々と話すので、止めるのをやめてつい聞き入ってしまう。

「持ち物も可愛い。それに物の扱い方がいいんだよなナナは」

「(ちょっと嬉しい)」

「泣いてる顔も可愛い。涙を拭ってあげて、そんでそのまま襲いたくなる」

「…変態!もう絶対マットの前で泣かない!」

「それ以上に笑ってる顔がとびきり可愛い!」

「…えへへ」

「あと寝顔も超可愛い。」

「はぁ!?見たことあるの!?」

「おっと…口が滑った」

マットは頬杖していた手のひらの向きを変えて口を押さえる。

「いつ!?やだ、盗撮とかしてないよね?」

「前キッチンのテーブルのとこで寝てたじゃん。口開けてヨダレが垂れててかわ…」

「それ可愛いって言わないでしょ!恥ずかしい!ばか!」

「そういうの、全部ひっくるめてナナが可愛いってことだよ!」


マットは満足そうに可愛いを連呼し終えると、頬杖したまま反対の手の親指と人差し指で鉄砲を作る。
それから私に向かってウインクしながらバーン!と撃つフリしてみせた。

マットが軽快に繰り出した鉄砲玉みたいな褒め言葉に、私はなす術なく胸のど真ん中を撃ち抜かれてしまう。

軽くて適当に見えるけど、とびきり優しいマットのこういうところ、結局大好きなの。

人差し指の先にフッと息を吹きかけるマットを前に、私は「う、やられたー」と胸を押さえた。

*end*


「ナナ、古典的なリアクションすんなよ…」

「ええっマットが先に仕掛けたんでしょー!」
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