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夏の終わり
「マットってさ、オシャレだよね。」

「だーろー?いいとこに気が付きました!イイコイイコ♪」

マットは私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「あっやめてよー」

そのオシャレで愛しいマットと歩く為に、ちゃんと私もオシャレしたんだからさ。

「ナナさ、寒いんでしょ。」

「えっ!」

何で分かったんだろ?

そう、思った以上に外は寒かった。

つま先や指先が固く感じて、さっきから少し肌寒い。

「オシャレさんは気温に合わせたファッションに敏感なのだ。」

何それ。

笑ってしまいそうになるけれど、マットが持っていた小さい袋から取り出されたものを見て笑いが驚きに変わった。
取り出されたのは、マットがいつも着ているベスト。

「夏の間は着ないんじゃなかったの?何で持ち歩いて…」

「夏の間は着ないけど、」

マットは私にベストを羽織らせながら言った。

「夏の終わりに好きな人が寒がったら着せるかもしれないだろ?」


*end*
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