8月1日
久しぶりに出た外は、うだるような暑さ、首に張り付く髪の毛。蝉がうるさい。そう思っているのは横にいる名探偵も同じなようだ。
「…騒がしいですね」
気に留めないなら何も言わないはずだから、口にするということは多少なりとも気になっているのだ。例え飄々とした表情を崩しておらずとも。
「セミ…嫌い。
…わ、や、やだっ!わあああっ!!」
何が嫌いかってこうやって突然ばちばちと動き出すところ。
慌てて掴んだLの服。シワを伸ばしながらもう一度改めて言う。
「セミ、嫌い!」
同意をもらえると思ったんだけど。
「そうですか。私はたった今、感謝していたところです」
Lはそう言って反旗を翻す、
私の頭を静かに撫でて。
8月1日