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翌日。

今日も捜査本部は忙しい。しかし仕事中の方がありがたかった。
昼の休憩になってしまうと、そこかしこで雑談になってしまうから。

休憩が始まるとすぐ、月くんが近付いてきた。

「ナナちゃん、昨日の話だけど」
「はいっ!?」

早速?しかも他の人もいる前で?
慌てた気持ちがオーバーリアクションに繋がってしまった。

「コーヒーには何を入れて飲むのが美味しいかって話だよ。
もしかしてナナちゃん…僕が告白でもすると思った?」

鼻先を抑えくすくすと笑いながら、月くんはこちらを見る。

いつの間にか、ちゃん付けに変わっている呼び名。

甘いマスクの爽やかな笑顔にユーモアを乗せながら、自然に距離を近付けてくる。
これには今まで相当数の女の子が堕ちてきたのだろう。
Lの推理を知らなければ私も危うかったかもしれない。

でも私は隈面に無表情、悪戯にからかってくる彼と距離を縮めたのだ。
そんなことを考えながら、適当な返事をこしらえる。

「月君が変なことばかり言うから、調子狂っちゃうよー」

困った表情を見せてその場を流すと、ひっそりと月くんが核心をついてくる。

「昨日の話か。だって二人ってたまに、敬語じゃない時あるよね?」

…!見られてた…?

でもハッタリかもしれないし、何より認めてはいけない。

「竜崎と?ないない!私は竜崎にお仕えする身なので、敬語じゃなくなるなんてありえないですよ」

それはもう全力で否定する。

「そうかなー…。この間、ナナちゃんLに「ちょっと!」って言ってなかった?」

…先日キッチンで片付けをしている私の身体をLがしつこくつついてきた時か。

「いや、その、竜崎が調子に乗る時に注意調になっているだけで、親しいとかそういう訳では…」

少し、しどろもどろ。

「その感じが親しそうなんだよ、あの竜崎が調子に乗るなんてさ」
「マジックでテーブルに直書きしたり、おはぎの紙ごといったり、何かとおかしなことしてるじゃない」
「まあ、ねぇ」

月くんはチラリとLを覗き見る。

「ま、いいか!昨日ちゃんと、竜崎にも確認したからね」

そう、私達は付き合っていないのよ。昨日私もLもあなたの前で宣言したもの。
と思ったら、月くんが指す"昨日確認したこと"とは私とLの交際の件ではなかったらしい。

突如情熱的で、真っ直ぐな瞳で見つめられ混乱した。

「昨日半分冗談って言ったように、半分は本気だよ、ナナちゃんのこと」

「ぇ…?」

私が戸惑うのと同時に、Lが「確認したいことがあるので集まってください」と突然声をかけ、月くんは他の捜査員と共に動き出したのだった。


*to be continued*
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