ひとりごと | ナノ

* 2016.05.29 DREAM

あるところに、マット、メロ、ニアという三人の男の子がいました。三人に、ロジャー母さんは言いました。

「マット、メロ、ニア、お前たちはもうじき15歳。そろそろ自分で暮らしておゆきなさい。」

そこで三人は、自分の家を建てて暮らしていくことにしました。

マットは要領が良くてきぱきと仕事をこなす子でした。しかし、少し爪の甘いところがあります。

「これでよしっと」

マットはわらを集めるとさっと束ね、あっという間に家を作りました。そして中でゲームを始めたのです。

時を同じくして面白いものの匂いに気がついた者がいました。パンダのような顔をした狼男のLです。Lは面白いものを探しては食いつくしてしまい、ここのところずっと退屈だったのです。

「あーけーて」
「げっL!」
「あーけーて

くーだーさーい」
「敬語に直した…」

マットは圧力に負け渋々ドアを開けました。そしてゲームを与えました。その他のことで差を思い知らされることを恐れたのです。

「改造しましたね」
「…うん」
「なるほど、考えましたね」
「へへー♪」

Lはマットの考えたゲームに夢中になりました。そして二人はあっという間に仲良くなりました。

ところが段々とゲームをするLの手の動きが鈍くなりはじめました。お腹が減ってきてしまったのです。

「甘いもの…」
「OK!いいところがある!」

マットはLを連れてメロの家に行きました。

メロはしっかり者でした。堅実に作業を進めます。そして集めた木の枝で家を作りました。

「メロ、チョコちょーだい」
「あ?」
「メロ、チョコください」
「…おい、呼んでないぞ」

メロは警戒しましたが、マットとLが家の中に勝手に入ってきてしまいます。メロは一生懸命な頑張り屋さんですが、報われないところがある子でした。

「L、それは非常用だ…」

Lはあっという間に、メロが非常用に仕込んでおいた"木の枝に見えるチョコレート"を発見し、いち早く食してしまいました。

「…」

メロは大層気分を害しましたが、そのままでは終わりません。いいことを思いつきました。

「そうだL、遊びのエキスパートがいる。退屈してるならあそこがお勧めだ」
「早速いきましょう」

メロは厄介払いにマットとLを連れてニアの家を訪ねました。

ニアは生活力のない子でした。しかし強かで難を逃れる術を持っていました。

三人がニアの家につくと、レンガブロックを積み上げて作られた豪邸がありました。

「いつの間にこんな…」
「おかしい」
「ニアのどこにこんな力が」

口々に訝しがっていると、豪邸の入り口横に設置されたスピーカーからニアの声が響きました。

「一晩で作りました」


「…ジェバンニだな」
「…ジェバンニだね」
「…ジェバンニですね」

三人はすぐに納得しました。

「お帰りください」

続いてニアの声が響きます。ニアは三人を家に招き入れる気がありませんでした。

メロとマットがどうやって厄介払いするか考えていると、Lが口を開きました。

「パズルを一緒にやりましょう」

スピーカーからは何の音も聞こえません。Lの様子を伺っているかのようです。

「お勧めの甘いもの情報も、斬新なプログラミングも教えてあげます」

それを聞いたマットとメロの目の色が変わります。

「新しい世界を一緒に作りましょう」

「L…」
「わーい!」

メロとマットが感激の声をあげた時、固く閉ざされていたニアの豪邸の門が開かれました。

こうして四人は仲良く豪邸の中で引きこもりはじめました。結局自活できなかったのでLが仲良しのワタリさんを呼び寄せました。

ワタリさんの本名をもじっていつしかワイミーズハウスと名付けられたその豪邸は、今でもイギリスの何処かに存在しているということです。

めでたしめでたし!
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