むかーしむかしある所にロジャーさんがいました。
ロジャーさんの家には古いよしみで面倒を見ている子どもが沢山いました。ロジャーさんはその中でもろくに他者と共存できないマット、メロ、ニアを自立させる為に家から追い出すことにしました。
ミッション「もっと コミュ力を あげろ!」
マットは手際が良かった。非常に良かった。見る見る間にわらは形となり、家となった。
「俺の!才能!」
マットは早速中にこもりゲームに次ぐゲーム三昧の日々を送りました。正味二日くらい。
その噂はすぐに推理好きの狼男・Lの耳に届きました。
「ところでその家に甘いものは?」
マットがゲームをやっていると、何かが腕にかかりました。Lの涎です。
「えっ!!」
「甘いもの…」
「ねえよ!ってかいつの間に!?うわああ」
マットは急ぎメロの元へ逃げました。
メロはというと、一生懸命小枝を組み立て家を作りました。チョコレートの方の小枝です。ちょっと舐めてつけるといい具合に固まりました。
「他の童話にもこんな家があったな…」
メロが惚れ惚れ我が家を眺めていると、マットが血相を変えて走ってくるではありませんか。その後ろには怪しい目元をしたLの姿があります。
「まずい…!」
メロはすぐに家に入り鍵を閉めました。
「メロ!そこは俺も入れるところだ!」
メロは迷いました。でも唯一人間味のあったメロは仕方なくドアを開けました。
「さんきゅ!」
「いいですね」
Lも一緒に入ってきました。
二人は戦慄しましたが、Lは小枝ハウスに夢中です。マットとメロはその隙に、ニアの家へ避難することにしました。
ニアはレンガの家をコツコツと建てていました。ニアには詰み癖があったのです。しかしニアは不器用だった。ドアの建てつけがとても悪い。
「中に入れません」
ニアがジェバンニを呼ぼうとしたその時、猛烈な勢いでこちらに向かってくるマットとメロを確認しました。
「入れませんよ」
「何て奴だ!!」
「マット急げ、無理やりでも行けっ!」
「何だこのドア開かねえ」
「どうやら建てつけが悪いらしい…まいりました」
「「それは、こっちのセリフ!」」
仕方ありません。三人はレンガの家の後ろ側に回って隠れました。
やってきたL狼はしげしげとレンガの家を眺めています。
ニアはいいことを思いつきました。
「中にケーキが置いてあります」
一言、家の裏からニアが告げると、L狼は知恵を使って建てつけの悪いドアをいとも簡単に開け、中へ侵入することに成功しました。
しかし中には何もありません。
L狼はがっかりしました。わりとピュアだったのです。
4人が当てもなく立ち尽くしていると、ワイミーさんがやってきて言いました。
「ケーキですよ」
こうして4人は一緒にケーキを食べました。辺りを見回すと、広い敷地には看板が立っており、名前を見ると「ワイミーズハウス」と書いてありました。
なんと最初から、この辺り一帯はワイミーさんの土地で、全ては仕組まれたことだったのです。
こうしていつの間にか仲良しになった4人は、結局外の世界に出ることはなくいつまでも引きこもって暮らしたのでした。おしまい。