淪落の恋 1


一目で恋に落ちた。

美しい姿勢で颯爽と姉の隣を歩く姿は映画の中の俳優ほど素晴らしい。父に挨拶をする態度は完璧で、会釈の角度は人の手本として教えられる。

瞳はエメラルドを嵌め込んだように麗しい色で輝きながら意思のある眼差しを投げ掛ける。頬には長い睫毛の影が落ち、薄い唇は柔らかく弧を描く。

肌は透けるように白い。筋肉がない訳じゃなさそうだ。趣味のいいスーツに包まれた身体は引き締まっているのが分かる。

男がこちらを見る。笑顔を浮かべられて身体に緊張が走る。ふと気付いた。目が笑っていない、営業スマイルだ。流れるような所作で手を差し出される。

「初めまして、アルフレッドくん。アーサー・カークランドです」

それでも胸は否応なしに鼓動を増す。
本当の笑顔が見たい。心を開いてほしい。それが報われない結果を突きつけられた感情でも。


姉の婚約者は一層笑みを深めて、アルフレッドの手をしっかり握りしめた。











100419
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