思い出されるのは私が本当の世界にいた時の記憶。
やっぱり私はノボリさんのいる世界の人ではなかった。

走馬灯のように私の記憶はものの数秒で私の中に帰ってきた。それをすべて思い出した後、私の足はもつれて線路へ落ちそうになっていた。




なんでもない普通の日に、私が暇で街をふらついた帰りのこと。

私の家からは電車一本でいける街に私は行っていて、買い物を楽しんで行きと同じく帰ろうとしていた。両手に荷物。電車で何回も来るのも億劫だから買いだめ用と思って買い物したけれど、少しこれはやりすぎたかもしれない。荷物の重みで手には跡が着いてしまうのは間違いないと思った。
その日は日曜日でいつもより駅構内は混みあっていた。子供やそのお母さん、休日出勤のサラリーマン。とにかく人が多くて空気は淀み温度は上がる。そんな雰囲気にも疲れを感じながら、私はまだかまだかと電車を待っていただけだった。

それなのに、「電車がホームに参りますご注意ください」と機械的な女の人のアナウンスが聞こえたその時、後ろの人が電車を確認しようとしたのか私の肩にぶつかって身を乗り出した。危ないなあと思いながら私は体勢を立て直す。でも、それが上手くいかないと思った時にはもう遅かったのだ。私は空に浮き、線路の中へと落ちた。今日は買い物をした帰りだ。荷物が重くて突然後ろから押されて簡単に体が前に倒れるのを止められなかった。

線路に体が着いて痛みから頭を上げたら、眩しい光が私を包んだ。

それが電車のライトだったなんて、今の今まで忘れてた。



まえ つぎ

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