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※ 軍国パロ


風が吹いて、桜が散った。ひらひら舞い落ちる花びらをあなたの肩越しに見た。大丈夫、涙は、出ない。

「風介さん」

名前を呼ぶと、彼は薄く笑った。これから戦いに行くなんて思えないくらい穏やかで、美しい姿だった。ああ、こんなにも優しくて美しい人だから、神様が連れて行ってしまうのですね。

「手紙を書くよ」
「はい」
「上手く綴れるかわからないが」
「はい」
「それでも、書きたい」

もう、十分だ。「その言葉だけで私は幸せです」と涙ぐんだ声で言った私を見て、彼は「そうか」とだけ呟いた。

「君の進む道が常に正しいことを祈ってる。過去に捕われず、未来へ向かって生きてほしい」
「風介さん、私っ」
「征ってくるよ、……春奈」

そう言って、彼は征ったのです。耳をすませば、あの時惜しむかのように私の名を呼んだあなたの声が聞こえてくるようで、今でも時々、あなたの夢を見るんですよ。風介さん。




涼野「って夢見ちゃった」
南雲「またこのオチか!」
音無「涼野さん、とりあえず皆さんに謝ってください」
涼野「色々すまんかった」

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