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>> 源田と佐久間
「もう飽きた、疲れた」

思わず持っていたボールを落としてしまうほど驚いた。源田の口から初めてそんな無気力な言葉を聞いた。俺の手を放れたボールは一度足にぶつかり、ころころと転がって行って源田の後ろにあるゴールの中に収まった。よし、一点。それでも源田はなんの反応も示さない。なんなの、まさかの病み期?

「なあ、佐久間。俺と一緒に死んでくれる?」

冗談だろ。他をあたってくれ。




>> 鬼道と不動
「大学を出たら春奈と暮らそうと思っている」

シスコンバカは真面目な顔でそう言った。別に驚きはしない。なんとなくそうだろうなと思っていたから。「じゃあこれからは鬼道くん家に出入り出来なくなるね」って笑った俺の目に苦々しくその端正な顔を歪めた鬼道くんが映った。
んだよ、なんでそんな顔するわけ? なんでそんな思い詰めたような顔で俺のこと見てんだよ。

「不動……」

「なんだよ」

「春奈と結婚する気はないか?」

「はぁ? いいのかよ、可愛い妹ちゃんが俺なんかに汚されちゃって」

「……構わない」

「鬼道くん、まじでどうしたんだよ」

心配する俺を尻目に鬼道くんはこう一言。

「そうすればお前はずっと俺のものだろう」

パシンと乾いた音が部屋に響いた。




>> 円堂と豪炎寺
円堂「なあ、豪炎寺。鬼道の家には執事とかいると思う?」
豪炎寺「さあ? そんな話は聞かないな。なんでだ?」
円堂「好奇心」
豪炎寺「円堂、奇遇だな。実は俺も前々から気になっていた。もし鬼道の家に執事がいた場合黒●事のセバスチャンとどちらが優秀なのだろう的なことを考え始めるともうダメだ。夜も眠れないくらい考えてしまうんだ。ところでセバスチャンって便利だと思わないか。掃除洗濯料理も出来て勉強も教えてくれるんだろう。おまけに死なない程度の軽い刺激を人生に与えてくれる。ドラ焼きを貪るだけのポンコツロボとは雲泥の差。これからは一家に一台セバスチャンだ!」
円堂「うん。お前が黒執●大好きなのはわかったから黙ろうか」




>> 鬼道と春奈
夢を見ました。とても悲しい夢でした。とても愚かな夢でした。目が覚めると同時に泣いていることに気がつきました。
どうしよう。今日はお兄ちゃんの前で笑える気がしません。それでも様子がおかしいことに気づいてほしいと思ってる私は、なんとずるい人なんでしょう。
私とお兄ちゃんが兄妹じゃなかったら、なんて。そんな都合のいいことあるはずないのに。




>> 鬼道の反応を見てみた
──豪炎寺編
豪炎寺「鬼道、同じシスコン同士気持ちは痛いくらいわかる。だがあえて言わせてくれ。音無を俺にください」
鬼道「悪いが空気に春奈はやれん」


──風丸編
風丸「鬼道、音無と結婚させてくれ」
鬼道「……」
風丸「鬼道!」
鬼道「風丸は婿というより嫁」


──不動編
不動「あの、鬼道くん」
鬼道「なんだ、不動」
不動「その、えっと……」
鬼道「?」
不動「妹ちゃんと……」
鬼道「春奈と……?」
不動「けっ……、言えるかよバカヤロォォォォォ!(逃」
鬼道「なんだったんだ」


──吹雪編
吹雪「……」
鬼道「……」
吹雪「…………」
鬼道「…………」
吹雪「………………」
鬼道「………………」
吹雪「(春奈さんと結婚させてよ)」
鬼道「(お兄ちゃん負けない)」


──ミストレ編
ミストレ「鬼道くん、だっけ? 君の妹可愛いね。譲ってよ」
鬼道「80歳差なんて認められない」


──佐久間編
佐久間「鬼道! 俺をお前の義弟に……」
鬼道「却下」


──源田編
源田「(土下座中)」
鬼道「なんの真似だ、源田」
源田「音無くれなきゃビーストファングするぞ」
鬼道「こんな腰の低い恐喝は初めてだ」




>> 豪炎寺と夏未
サッカーボールを追う10番を見た時思わず涙がこぼれた。やっぱりこうじゃなきゃダメなんだって思った。入り混じる22個の数字の中であなたの着る10番を見つけると、なぜかちょっぴり安心するの。
 「おかえりなさい」と素直に言えない私は、押し付けるようにタオルを渡した。「ただいま」なんてそんな優しい顔で言われたら怒るに怒れないじゃない。豪炎寺くんのバカ。




>> 鬼道と春奈
さようなら。いつか必ず迎えに行くから。だからどうかそれまで俺のこと覚えていて。
それが例え憎しみであっても。
あなたを傷つけることになっても。
人間とは実に身勝手な生き物だ。かく言う俺も例外ではない。




>> ミストレと春奈
「こんな出会いしちゃいけなかったんです」

突き放したのは私の方なのに今とてもあなたに会いたいのです。
80年後のあなたへ。言いたいことがたくさんあります。




>> 吹雪と春奈
「君に僕の何がわかる!」

自分の怒声で我に返った。僕、なんで怒ったんだっけ? 少しイライラしてて心の触れられたくない部分に触れられただけ。いつもみたいに曖昧に笑って、適当に流せばよかったのに自分の気持ちを制御出来なかった。

「なら吹雪さんは、私の何がわかるんですか?」

春奈さんはこう言った。「私があなたを知らないようにあなたも私を知りません。人間なんてそういうものでしょう?」って。
しゃがみ込んでいた僕としっかりと視線を合わせて「だからいっぱいお話ししましょう」なんて笑顔で言われたから思わず泣いた。

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