るのをやめました

ゆっくりと這うような倦怠感が私を包む。目を開けば隣には寝息も聞こえないほどに静かに眠るNがいた。いつからこうやって身体を重ねることさえ、拒否することをしなくなったのだろうか。Nは時折今日のように身体を求める。この城に連れて来られてから幾分経ったころが最初だった。初めは恐ろしくてたまらなかった。恥もあったが男性にこんな感情を抱いたのも、行為に及ばれたのもNだけだったからだ。そして強く抗え無かったのは、Nが泣きそうな顔で私を見つめていたから。
今ではその彼の目を、瞳を、もうまともに見ることは出来なくなってしまった。いや、見ることを拒絶した。

「…N」

さらりとNの顔を撫でた。どうしてこうなってしまったんだろう。私だってNが好きだ。けれどこのプラズマ団が支配した世界では、あなたを愛することができない。そうしたら大事なみんなを裏切ることになってしまう。
ぽたぽたと雫が落ちた。毎晩私は泣いている。惨めな自分に、無力な自分に。彼の選んだこの世界は、酷く甘く、この上なく苦い世界。
ふと見下ろせば月夜に照らされた自分の腕は、青白くあまりにも細かった。


《私が救いたかったはず世界は、この両腕には大きすぎた。》


20110405



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