カウントダウンは加速する

蒼から紅へ変わりゆく空を見る度に涙を流す。そしてまた、まだこの景色を見て心を動かされる自分がいるのだと安堵するのだ。理想の世界を創るために非情にならねばと思いつつも、何度迷いと疑いの夜を超えてきたのだろうか。全ては、全てはあの小さき少女によってもたらされたのだ。

「彼女がいなければこんな思いも、想いも、生むことがなかっただろうか。」

いいや、違う。限りなく本能に近い部分の自分は警鐘を鳴らし続けていた。本当の本質の真実の事実の理想の、それらこの世の全てが照らし出していた。そして気づいてしまう。自分が壊さんとする“協力しあう彼ら”こそが、自分が今トモダチと体現しているモノと同じことに。

「それでも引くことは許されない。」

止まることが許されないのなら、君が止めてくれ。そう叫ぶ己を深く閉じ込めて、只今は前を見据える。合間みえん時は刻一刻と過ぎてゆく。少女の凛とした瞳に射抜かれる時もまた、変わらず近づいていた。


《されどその身を捧げるしか、彼には選択肢が残されていない。》


(N→主♀)
20101031



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