空中分解をした願い事

「君は狂っている。これだけの人間を殺す必要があったのか?」

目の前に佇む初老の男はゆったりと椅子にもたれかかった。黒張りの所謂社長椅子で、男がもたれたかかると同時にきしりと音を立てた。片手に持つカルテには診断結果を書き込んでいるが、否定的な物であることは明らかだった。

「何とでも言えばいいさ。」

カウンセリングだと言われ通された部屋だったが、内容は尋問に近く、罪を認めてるにも関わらず執拗に責め立ててくる警察側に飽き飽きしてきた。チラリと窓の外を見れば見回りに出る所の警官がいた。腕章には星が3つ並んでいる。S.T.A.R.Sの一員であることが見て取れた。さっぱりとしたショートでうら若き少女のようだった。相変わらず医者は質問を投げかけてくるが、俺の興味は外へ走っていった少女に注がれていた。

「これから君は死刑になるんだぞ?言い残したいことはないのかい?」

あんな若い人間も取り入れてるのだから、精鋭中の精鋭と言ったところか。少女の眼は正義感に満ち、使命に燃えていた。だからこそ自分が軍に入ったころを思い出し、思わず笑った。あの頃は国の役に立とうとしてたはずだったのにな。今じゃあ上官に裏切られ、国にまで裏切られた。

「せめてさっきのお嬢さんが俺みたいな経験をしないように願うよ。」
「誰のことだい?」
「さあ、誰だろうな。」

腑に落ちない顔をしていたが、医者はそれ以上口を開くことはなかった。数人の警官に連れられ部屋を後にする。扉が閉まる瞬間に気持ちにまた区切りがついた。それでいい。これから死刑となる人間が何を語ろうが、彼らからすれば虚構に過ぎないのだから。それでいいんだ。けれど。せめてこれからを歩む彼等だけは、どうか利用されぬように。


《されど囚人の祈りは届かない。》


(ビリー・コーエン)
20110312



珍しく後書き書きます。
ビリーの独白に近い何かです。
この後皆様の予想通りS.T.A.R.Sはアンブレラの実験に巻き込まれる展開になるわけですが、それ以前にビリーは何してるかなと思いまして。
へろさんリクエストのバイオ0のつもりで書いたんですが、正直この文全然納得言ってません。
なので。またしばらくしたら新しいの書きます。
これは没作品として楽しんで貰えたらと思います。
没理由としては上手く落ちなかったからです。
オチを作ってから書いたほうが良かったかもしれませんね。
計画的に…。
なんかすいませんでした。
ちゃんとしたやつまた書きます。




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