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【Write:月狼さん】
彼らは今の僕を見て友達になってくれた。
僕をちゃんと知って友達になってくれた。
何を僕はそんなにめそめそしてるんだ。
過去にあったことをいつまでも見つめては駄目だ。今見ないといけないのは、僕のことを友達と言ってくれる彼らなんだ、彼らにちゃんと答えないといけないんだ。
「うんっごめんねっ」
「分かればよしっ」
千尋はニヒッと笑いウィルの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「あー!ちーさんダメだよっウィルくんの頭がくしゃくしゃになるじゃないかっ」
優が早々とウィルのところに行き、ウィルの髪を撫でた。
「ノンノンっちーさん暴力反対」
人差し指を左右に傾けながら霞が言う。
「何が暴力だっ頭撫でただけだろっお前も撫でてやろうか!」
「ノー!!痛い痛い!暴力はんたーい!」
霞の背後に立ち両手で霞の頭をゴリゴリした。
「やめんかっ」
卓弥が千尋の腰にチョップをした。思いっきり。
「アイタッ!」
千尋は腰を手に当て、霞は頭を押さえ、苦しんでいた。
「ははっ」
すると二人があまりにも面白かったのか、クスッとウィルが笑いだした。その後、突然笑ってしまったことに恥ずかしくなって、ごめんっと咄嗟に謝った。
「謝らなくて良いよ、面白いときは笑う、笑いたいときは笑うのが一番だよ」
「そうそうそれに、ウィルの笑顔は良い顔してるよ。見ていると微笑ましいよ」
「あ、ありがとう」
ああそうだった、楽しいときに笑うのは当たり前の事だよな。つい反射的に謝ってしまった。
こういう事はあまり慣れてないから。
変な癖がついてしまったとウィルは思った。
「でも、君たちの笑顔もとっても素敵だし好きだよ」
…あれっ何で皆黙って僕を見てるの?
「ヒャー!!」
突然優がかん高い声で叫び、ウィルを思いっきり抱き締めた。
「うぎゃっ」
抱き締められた勢いで頬が潰れる。
「何て良い子なんでしょっ!ねっお母さん!!」
「何で僕がお母さん?」
卓弥が自分を指差した。
「ボクも好きさっ大好きさっ」
ウィルの頭をスリスリする。
「おーい、優、ウィルが潰れてるぞー」
「わーい!オレもー!」
そして、霞からも抱き締められる。
それはもう、サンドイッチのよう。
「おい!ウィルの顔が!ウィルを窒息死させる気か!」
その言葉に気が付いた二人は慌て離れた。
「うぅ…死ぬかと思った…」
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