2023/11/22(Wed)
「ガラス片を埋めた道」(海賊)豹アイ
🐆(→)🍨(w7~後)

 愕然と見上げる顔とは裏腹に、瞳の奥底では”確信”を得ていたのが見て取れる。5年という短くはない月日ですら彼の壁に罅すら入れることはなかった。「貴方の思慮深さには呆れて物も言えない…!」
慧眼に間違いはなくとも、落胆が胸を突く。穏やか過ぎて血に飢えた5年だった。漸く解放されるというのに、ソレが小さくルッチを引っ掻く。縛り上げて炎の中に置いてきた彼と共に、小さなソレに背を向けた。
--------------------
海賊に敗北し、政府からも”クビ”を言いつけられた後。療養からの自主休暇を満喫中に目に入った新聞には、長年潜伏していた社の事…彼がのっていた。未だに癒えてはいないだろう四肢を隠して写真に写る彼は、前にもまして背筋を伸ばし前を向いている。
じっと見ていたら、ハットリがルッチの手を軽くつついてきた。指先で撫でながらも視線は写真に注ぐ。微かに目を細めて見えもしない、服の下のけがを思う。あの時の傷は残ってしまっているのだろうか。この先出会うことはないだろう、確かめるすべはない。けれども、残ってしまえばいいと心中で呟く。きっとそれは美しく彼を彩っているだろうから。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -