月日はあっという間に過ぎ、私達は立海大附属中で2度目の春を迎えた。2年生になって変わった事は、ブン太が髪を染めた事だ。1年の時は先輩や先生がうるさいやなんやで黒髪だったが、4月1日ぴったりにいきなり赤髪で登場したブン太に驚いたのは言うまでもない。最初エイプリルフールでウィッグをつけているのかと疑ったほどだ。綺麗な燃えるような赤はブン太にぴったりだった。


『おはようブン太』

「おーなまえ!」

『やっぱ目立つね、その髪』

「まーな。早速風紀委員に捕まってよー。でもこの髪のお陰で俺の事見つけやすくなっただろぃ?」

ばーか。そう笑ってごまかしたけど、本当は黒に戻してほしかった。ブン太は赤髪になってからますますかっこよくなってモテるようになった。ブン太は私の彼氏なのに…。最近自分の醜い部分をひしひしと感じるようになって、嫌になる。こんな事で嫉妬して、ほんとに格好悪い。こんなんじゃ心が狭いってブン太に嫌われちゃうかな…?


「おい、おいって!」

『え、え?何?』

「何って、クラス貼りだされてるの見に行くぞって言ってんの!」

『あ、そうだね!行こう行こう!』











「お、俺の名前発見!B組だぜぃ。なまえは?」

『私は………あっ!私もB組だよ!同じクラスだね!』

「まじで?なまえと同じクラスなんて俺かなり嬉しいんだけど」

『私もすっごく嬉しい!』


ずっとブン太と同じクラスになりたかった私にとってこの出来事は本当に嬉しいものだった。毎日一緒にいられるし席だって近くになれるかもしれない…!妄想を膨らませていると誰かに肩叩かれ、振り向くと白くて長い指が私の頬にフィットした。

「引っ掛かったナリ」

『仁王君!』

「おい仁王!なまえにちょっかい出してんじゃねーよ!」

「おーみょうじの事になると怖いのうブンちゃんは。折角同じクラスやのに」

「まじで…お前、同じクラスかよ、最悪。なまえ、仁王に何かされたら言えよ!」


そっか、仁王君も同じクラスなんだ。仁王君もブン太と同じテニス部で、ブン太を通して知り合った。綺麗に染まった銀髪で見た目はちょっと怖くて一匹狼みたいだけど、実は優しくて友達思いだという事を私は知っている。なんだか楽しいクラスになりそう。

それにしても仁王君は銀髪だしブン太は赤髪だし、これはかなり目立つ。さっきから女の子達の視線を感じるのは気のせいじゃ…ないよね。私、大丈夫かなぁ?