桜の花びらに包まれながら校門をくぐるのはもう何度目なんだろう。俺たちは高校生になった。中学からのエスカレーター式だから対してメンバーは変わらなく、いつも通りテニス部のメンバーとクラス分けを見に行くために歩く。

(お、またB組か)

何かの縁か、また俺は仁王と同じクラスになった。あれから仁王とは殴ったことでお互いすかっとしたのか、普通にまた絡むようになった。こういうとこって男っていいなと思う。(女はねちねち続くからな…。)

「おいブン太!もうすぐ入学式始まるぞ!」

「わりぃ、先行ってて」

「?」

ジャッカルには悪いが、俺はまだ入学式に出る気分ではなかった。

(なまえは…どのクラスなんだろ)

ひどい別れ方をして顔も見たくない、そう思った相手でもどのクラスなのかは一応気になる。まぁクラスを知って何かしようとかそういう考えはないんだけど。名前の一覧をA組から順に見ていくが、みょうじなまえという名前は見当たらない。は?なんでだよ。あいつもそのまま上がったんじゃねーのかよぃ?意味わかんねー…



その後、俺はなまえと仲が良かった幸村くんと仁王になまえの事を尋ねていた。

「おい…なんでなまえの名前がないんだよぃ!」

「今更何言ってるんじゃ。ブンちゃんには関係な「みょうじさんはね、外部進学したんだよ」

は?幸村くんの言っている意味が分からない。外部進学?そんなの立海の中じゃ一割も満たないだろ。ましてやなまえみたいな奴が外部進学するわけねーだろぃ。

「みょうじさんは自分で外部進学するって決めたんだ。ブン太も知ってるんだろ?彼女はブン太と別れてからみるみると成績が上がったこと」

「な、なんだよ!幸村くんは俺となまえが別れてよかったって言いたいのかよぃ!」

いくら幸村くんに頭が上がらない俺でも流石に腹が立った。

「なんでそんな風に言われなくちゃいけないんだよ。なんでもかんでも俺のせいにしやがって!すべてはなまえと仁王が浮気したからいけないんだろぃ!」

もうめちゃくちゃだ。そんな俺を見た幸村くんは、真剣な目で俺を見た。

「ブン太、もっと大人になりなよ。全部みょうじさんと仁王が悪いみたいな言い方をしているけど、ブン太だってみょうじさんに仁王と喋るなと言っておきながら佐久間さんや他の女子と喋ってたよね?みょうじさんだけブン太のエゴで束縛しておいて自分はいいみたいな考えはおかしいんじゃないのかな?」

「それは…っ!」

「好きな人が他の男子と喋っているのってムカつくよね。俺も好きな人は独り占めしたいからその気持ちはすごく共感できるよ。でもね、好き同士だったら相手も同じふうに思うんだよ。どんなに強く想いあっててもお互いを思いやらないとうまくいかないんだよ。今のブン太なら俺の言っている意味、分かるね?」


思い返してみれば、俺はモテるようになって、調子にのっていたのかもしれない。なまえと同じクラスになった俺は、なまえに嫉妬してほしくて最初は佐久間と喋るようになった。でもなまえは嫉妬する様子は見せず、仁王と急速に仲良くなっていて俺はとてつもなく苛々した。だから俺も佐久間と仲良くしていたんだ。でもそれが駄目だったんだ。俺のちょっとした悪戯心でなまえを傷つけていた。それと同時に、佐久間もだ。俺は…俺は…!

「なまえはどの高校に行ったんだよ!教えてくれよ幸村くん!」

「嫌じゃ」

「に、仁王!てめえふざけんなよ!」

「俺はなまえが好きじゃ。どうしてこんな絶好のチャンスにおまんのつけこむ隙を与えないけんのじゃ」

「はぁ!?もういい分かった!俺が自力で探す!お前なんて頼んねーよ!」

俺はなまえに酷い事をした。それは簡単に許されるものではない。別れた後もなんだかんだ言いながら俺はなまえの事が頭から離れなかった。だから不特定多数の女と関係を持ったわけだけれども…今思うと俺は彼女達をなまえとして変換していた。なまえ、本当にごめん。今度は俺がお前を探して、この気持ちを伝える。…仁王なんかにとられてたまるかよ!





「仁王も不器用だなぁ。なんでそんなに自分を犠牲にするかな…自分も今でもみょうじさんの事が好きなのにわざとブン太に挑発するような事言っちゃって…ほんと馬鹿だよ、あいつらは」

(まぁそんな馬鹿なやつ等でも、大事な仲間だから放っておけないんだけどね)


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