次の授業である音楽がダルくて屋上に足を運ぶと見慣れない先客がいた。そいつは幸村の幼馴染であるみょうじなまえだとすぐ分かった。みょうじはアスファルトの上に大の字で眠っていた。女子で大の字って…もうちょっと色気がある寝方は出来んのかのぅと俺は若干苦笑いでみょうじをしばらく見ていた。少しあどけなさが残る彼女は特別可愛いって事もなく、だからと言って不細工でもない。まぁごく普通の顔。でも彼女は何というか…何かを恐れているような感じで眠っていた。それがあまりにも辛そうな表情を浮かべていたので俺はみょうじの髪にそっと手を伸ばした。

「さらさらじゃ…」

色素の薄い髪を撫でてやるとみょうじの表情は少し柔らかくなった。怖い夢でも見とったんじゃろうか。俺が撫でる手を止めるとうっすらと開いたみょうじの目と俺の視線がぶつかる。

「(まずいっ!)」

何か誤解されると思い、咄嗟にその場から2,3歩下がったが、みょうじはそのまま目を閉じてまた夢の中へ戻っていった。

「(不思議な奴じゃ…)」

今度はとても気持ちよさそうに寝始めるので俺はみょうじに自分のブレザーをかけて、自分も給水タンクの後ろで寝ることにした。今日は絶好の昼寝日和じゃ。