朝から授業を聞く気にもなれず、友達に適当に保健室に行くと言って私は屋上を目指した。まぁ所謂さぼりってやつ。昨夜から精市の事を考えていたらいつの間にか眠っていた。朝の気分はいわずもがな最悪である。

「(寝よう…)」

日陰で死角である屋上のはしに横たわる。風が気持ちいい。出来ればこのままずっと眠っていたい。眠っているといろんな事を考えなくてすむから。どうしても意識があるとあいつの事を考えてしまう。断ち切りたいと思っているのは私なのに、私の脳はどうしても彼の事を手放さないようだ。

「あーもう駄目駄目!」

私はぎゅっと目をきつく閉じた。清らかな風はまるで私を撫でてくれているかのように優しく感じる。銀色の光が差し込んでくるのが最後で私は意識を手放した。