俺となまえちゃんは幼なじみでいつもいつも一緒にいた。笑っちゃうかもしれないけど、当時、俺にとってなまえちゃんはヒーローだったんだ。

あの時の俺は自分の中性的な容姿のせいでいつも女顔と虐められていた。今じゃこの容姿も悪くないと思えるけれど、当時の俺にとって最大のコンプレックスだった。そんな俺をいつも守ってくれる女の子――なまえちゃん。なまえちゃんと俺は同い年なのに性格が真逆で、いつも俺を守ってくれるから俺の憧れだった。自分に自信がなくて泣いていると「男の子は泣いちゃ駄目だよ!」と言ってくれたなまえちゃん。俺は本当に彼女が大好きだった。だから父さんに言ったんだ。「僕、なまえちゃんが好きなんだ」って。そうしたら父さんは優しく微笑みながら言ったんだ。

「じゃあ精市がもっと強くなってなまえちゃんを守ってあげないとな」

だから俺は変わることを決心したんだ。なまえちゃんに相応しい男になるために。

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(201100330)