いちにちめ

カランカランと音を鳴らして歩くなまえ。周りには紺、黒、桃色、白などの色鮮やかな浴衣を着る人々。なまえが着ているのは水色で、白のレースがベースになっている浴衣。周りと比べると地味かもしれないが、派手な顔立ちにほんのり化粧をして、髪をあげているなまえは周りにいる誰よりも目立っている。俺はなまえの浴衣姿を見た時、それはもう心臓が跳びはねた。ほら、なまえは可愛いからそこらの野蛮な男達がお前に視線を向けてる。その汚らわしい目で俺の彼女を見ないでくれるかな。それになまえは少しは可愛いって事、自覚したらどうなんだい?進む度に野郎達が振り返ってなまえを見るもんだから大衆の前でキスしてやった。そしたらみんな顔を赤らめて立ち去ってんの。ざまあみろと思ってたらなまえに怒られちゃった。フフ、そんな上目遣いで睨まれても全然怖くないよ。むしろ逆効果だ。あーもう分かった分かった。りんご飴奢ってあげるからそれでチャラね。りんご飴をなめるなまえは本当に可愛い。もうなめちゃいたいくらいに。もうすぐ花火が始まる頃だからか、人がずいぶん増えた気がする。ほら、危ないから手繋ごう。え?痛いって?ごめんごめん。あまりにもなまえが可愛くてついね。これでいいだろ?ほら、早くしないと場所取られちゃうよ。


包むように手をつなぐ
(花火大会での小さな嫉妬)

(20110117)