4月20日は立海大附属中学で活気のある日の一つである…女子限定で。
「丸井くぅーん!」
「良かったら食べてぇ!」
「おう、さんきゅー」
「「「きゃー!!」」」
まあ見ての通りプレゼントを沢山貰っている赤髪の彼――丸井ブン太の誕生日である。すでに机の上に乗り切らなくなったプレゼントを見ると比較的甘いものやお菓子が多い気がして、ああ、べただったかなと少し後悔した。私も一応準備はしたけど、沢山あるし私があげても意味がないかなと思い、ため息をついた。
「騒がしいのう」
『…仁王。今日は遅刻じゃないんだね。』
「お前さんの想い人の記念すべき日じゃからのう。」
『ち、ちょっと!』
私が仁王の腕を掴むとすまんすまんと言って頭を撫でられた。ああ、こいつ謝る気ゼロだ、うぜー。
「まあそんなカリカリしなさんなって。どうせ沢山プレゼント貰ってるんだから私のなんていらないかとでも思っとったんじゃろ」
うっ…さすが仁王。鋭い。当たりすぎて何も言い返せない。
「そんな分かりやすいお前さんに俺が一ついい事を教えてやるぜよ」
そう言って私の耳元まであと数センチとなった時、
「おい仁王!」
「なんじゃ、ブンちゃんか」
「お前教室で朝っぱらから何やってんだよい!」
「別に。こいつと朝の挨拶をしとっただけじゃ」
ええ〜!?朝の挨拶ってなによ!話が違うじゃないの!しかも丸井くんの顔は明らかに不機嫌そうだ。私がどうしたらいいのか分からなくて顔を赤らめていると、いきなり私の腕に黒いパワーリストをつけた手が伸びてきて勢いよく引っ張られる。その手の持ち主は私の腕を掴んだまま教室を飛び出した。仁王のほうを見ると手をひらひらとなびかせて笑っていた。あいつわざとだったの!?運動部に所属していない私は息が切れて仕方がない。は、速いよ丸井くん…っ!階段を上って扉を開けると、外の新鮮な空気が広がった。
「屋上なら誰もこないな」
『ま、丸井くん…い、いきなり、何…っ』
息切れで上手く喋れない私を見下ろす丸井くんの顔は未だに仏頂面だ。
「お前仁王が好きなのか?」
『…は?』
「早く答えろよ」
『す、好きじゃない!私が好きなのは丸井くんだよ!』
…ああああ、とうとう言ってしまった!どうしよう!丸井くんはぽかんと口をあけたまま私を見つめてるし!穴があったら入りたい。
「じゃあなんで仁王の腕掴んだり仲よさげに喋ってんだよい」
『仁王はただの友達だし、私が丸井くんの事好きなのを応援してくれてたの!』
まじかよ…と言って頭を抱えてしゃがみ込む丸井くん。
『そ、そういう丸井くんだって沢山女の子からプレゼント貰ってたじゃん!』
「あれは一応貰っておいて、あとは全部弟達にやるつもりだったんだよ。俺は好きな奴から貰った物しかいらねぇし…」
『う、うそ…』
「だから、お前からのやつしかいらない」
気づいたら私は丸井くんの腕の中にいた。ほのかに香る爽やかな香りが私の鼻を刺激する。
「俺もお前が好き」
『私のほうが好きだもん』
「今のきゅんときた」
そう言って丸井くんはふわっと大きく笑った。ああこれだから私は君が大好きなんだ!
今なら素直に好きと言える
(俺に渡す物あるんだろい)(…はい、クッキー)(黒っ!)(仕方ないじゃない!私料理苦手だもん!)(…これから料理叩き込んでやるから覚悟しとけよ!)(…)
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この作品はあぴ様主催の丸井祭様に提出させていただきました。素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました!
(20110420)