※lovely sunsetの謙也side
先にlovely sunsetをお読み下さい


『…から引っ越してきたみょうじなまえです。よ、よろしくお願いします。』


初めてなまえを見たとき、ぱっとせん子やなと思った。


***

「みょうじさんよろしくな!」「どこから来たんやっけ?」「何部入る予定なん?」「みょうじさんかわええなぁ」「こら白石!口説くな絶頂男!」


おーおーやっぱみょうじさん困っとるがな。いきなり関西人のノリで質問攻めしたらあかんて。めっちゃ脅えてるし。そりゃ関西一うるさい四天宝寺中の一番うるさいクラスの連中に囲まれたら脅えるのも当然やっちゅー話や。そろそろ止めに入るか。

「ちょ、みょうじさん困ってるで。お前らうるさすぎやねん。」

お前が止めるとみんなはヘタレのくせにと文句を言いながら各自の席に座りはじめた。誰がヘタレやっちゅーねん。呆れていると隣から小さな声が聞こえてきた。

『あ、ありがとう』

「あぁ、ええよええよ。すまんな。めっちゃうるさいやろ、俺等のクラス。」

『お、おもしろい人ばかりで楽しいよ。最初はびっくりしちゃったけど…』

「それが本音やろ」

『うん、まぁ…ってちょっと!違うよ!!』

「ははは、おもろいなー自分。あ、俺忍足謙也っていうねん」

『おしたり…くん?』

「おん。珍しいやろ。まあ謙也のほうが呼びなれとるよ」

『じゃあ謙也くんって呼ぶね。私のことはなまえでいいよ』


それから俺らはよく喋るようになった。席が隣っちゅーのもあるけど。昨日の夕食の話とか、あのテレビが良かっただとか、あの芸人はおもろいとかたわいもないことばっか。でもそれがなんとなく楽しくて、なまえと休み時間中喋る事が習慣となっていた。そんなある日、

『今日私の故郷の夢を見たんだー』

「どんなん?」

『友達と夕焼けを見ながら学校から帰る夢』

「案外普通やな」

『いいじゃん!』

「はいはい、で、お前の故郷ってどんなとこなん?」

『大阪と比べるとすごく田舎。でもすごく温かい所だった。自然がいっぱいで、空気が澄んでいて、星がいっぱい見えるんだよ。そして何よりも夕焼けが一番綺麗なんだ』

「へぇー」

『大阪は都会で、田舎者の私はすごく憧れてた。でもいざ住むとやっぱり昔が……あっ!ごめんね。こんな話しちゃって…無神経だったね私』

「いや、ええよ。まだ引っ越してきて三週間しか経ってないんやから」

『ありがとう。謙也にも私の故郷の夕焼け、見せてあげたかったな…』


俺は一瞬目を奪われた。なまえがあまりにも綺麗で、でもすごく切なくて…今にも涙が目からつたいそうな…泣きそうな表情やった。俺はその時思ったんや。なまえが故郷を忘れるまでとは言わんけど、同じくらい大阪を好きになってもらいたい。大阪の夕焼けも綺麗やっちゅーことを知ってもらいたい。でもそんな事よりもとにかく



俺にずっとお前の笑顔を見せてほしい。


(おい見てみ、あの川原めっちゃ綺麗やで)(ホンマや…)(あそこに好きな女の子連れていったら…んんーっ絶頂!…って謙也!)(…これはなまえに見せなあかん!)(ちょ、追いてかんといて…涙)
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謙也くんsideでヒロインちゃんが引っ越してきたときです。しっかり者の謙也くん。

(20110115)
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