どきどきどきどきどき
今私は極度の緊張感の中にいる。目の前には割り箸を私に突き出して早くしろとでも言いたそうな顔をしている学級委員長。はい只今席替えのくじ引き中です。待たせてごめんね。でも席替えって重要じゃない?これからの学校生活を担うっていうか・・・っていたたたたたたた!!いきなり後ろから腕捕まれたんだけど!しかもいつの間にか私の手には2と書かれた割り箸がしっかりと握られている。
「やっとみょうじさん引いてくれたよ。いや〜ありがとね、幸村くん」
「別に構わないよ。後ろで待ってるのにも関わらず、くじを引くくらいで5分も俺の時間を無駄にしたからね」
犯人は魔王様もとい幸村精市でした。それ笑顔で言わないで、逆に怖い。もう勝手にくじ引かれた怒りなんてどっか行っちゃったよ!
「それでなまえは何処の席かな?2番は…一番後ろの席の窓側だね、良かったじゃん。引いてやった俺に感謝しなよ」
一番後ろの窓側なんて睡眠におけるベストポジションじゃないか!そこ狙ってたんだよね〜ピッタリとそこを引き当てる幸村はやはり神の子、いや、神様なのだろうか。とりあえず勝手に引かれてしまったが、ここはお礼言っておかなきゃな
『ありがとう!これで心置きなく爆睡出来るよ』
フフフと笑いながら今度は自分のくじを引くために割り箸に手を伸ばす。あれ?なんか今寒気がしたんだけど気のせい…
「偶然だね!なまえの隣の席引き当てちゃった☆」
気のせいじゃなかったあああ!絶対なんか仕組んでたよ!あの語尾の☆がそれを物語ってるよ!やばい、クラスの女子からの視線が痛すぎる。幸村の隣なんていくらでもゆずりますよ!幸村の隣になるくらいなら一番前の一番真ん中になって先生とお友達になったほうがましだ。
「これってもしかして運命かな?」
なんてかわいこぶる幸村。周りの女子は言葉にならない奇声をあげている。
『いやいや幸村が私のくじを引いたんでしょうが。二つともあなたが引いたんでしょうが』
「せっかくメルヘンチックな事言ってやったのに〜女の子ってこういうの好きそうだし」
『確かにそういうの好きな女の子は沢山いるだろうけど私には幸村があのくじに何か仕組んだんじゃないかっていう疑惑でいっぱいなのですが』
「えーなんだよそれー」
凄く棒読みなんだけど。疑惑が確信に変わりました。
「んー…一週間ってところかな…」
『何が?』
「なまえは一週間で俺の事が好きになる」
『はっ?!』
楽しみだねと言って華麗に微笑む幸村精市。なんか宣告されちゃったんだけど!しかも私が幸村を?ないないないないないいいい!
「でもその様子じゃすぐに俺に惚れちゃうかもね」
『な、なんでそんな事言い切れるのっ…!』
「顔が真っ赤」
『いや、教室暑いし!』
「暖房切ってあるよ」
『チ、チークだって!』
「なまえはいつも化粧してこないじゃん」
なんなんだこいつ、半端ねえ。言い返せない!ってか洞察力も素晴らしい
「俺、なまえのそういう反応好きだよ」
また顔が真っ赤と言われる始末。もう絶対確信犯だ!私の焦った表情を見て楽しんでる!サドスティックにも程があるってば!
「これからよろしくね?なまえ」
み、耳元で囁くなんて反則!!
(割り箸に印をつけておいたのはここだけの秘密ね)
-----------------
自信過剰な幸村
(20101120)