『ねえ、仁王』
「なんじゃ?」
『注文の多い料理店って本、読んだ事ある?』
「…プリッ」
この変な言葉を発して今私のベッドに寝転んでいるのが仁王雅治もとい私の彼氏。
『読んだ事ないのね』
「あらすじを教えんしゃい」
えー結構長いんだけどなぁ…
しかし私は明日までに注文の多い料理店について小論文を書かなければならなく、仁王に手伝ってもらおうと思ったので渋々話す事にした。
『えっと、二人の紳士がいるんだけど「柳生じゃ」うるさい』「プリッ」
二人の紳士が山奥を歩いていたらいきなり山猫軒という西洋レストランが現れ、二人は入っていくが、オーナーから不可解な注文ばかりつけられていく。
最終的には西洋料理が食べられるレストランではなく、オーナーの山猫に二人が西洋になって食べられそうになるという宮沢賢治の有名な作品だ。
「はしょりすぎじゃ」
『うるさいな!あらすじ考えるの苦手なの!』
「まあなんとなくお前さんが言いたい事は分かったぜよ」
『ほんと!?さっすが仁王!』
そういや仁王は国語が得意だったかな?あれ、違う?まあいいや←
「なあ、今から少し芝居をせんか?」
『は?芝居?なんでよ』
「そのほうが物語の主旨が掴めそうじゃろ、俺は山猫をやるけんなまえは紳士をやりんしゃい」
なんか半ば強制で決められた配役。私が紳士って納得いかないけどレポートの為だ!
『分かった!やってやろーじゃないの!』
「その意気じゃ、なまえ」
仁王が怪しげな笑みを浮かべていた事を私は気づきもしなかった。
『も、もしかして私が西洋料理を食べるんじゃなくて、私が西洋料理になって食べられるって事…?!』
「さあ早くお腹にいらっしゃい」
よし!我ながら素晴らしい演技力!確か次は犬が飛び出してきて山猫軒が消える場面ね。
『仁王、ここからは犬が飛び出してくるから省こ…』
ドサッ
ん?
んん?
あっれーどうしたのかなー
私の視界には真っ白な天井とまるで獣のような目つきをして私を見ながら妖艶にニヤつく仁王
『ちょっと仁王どいてよ!なんで押し倒すのよ!』
「今からなまえをいただくんじゃよ」
『何言ってんの、芝居の途中でしょ?意味わかんない!大体山猫は紳士を食べられなかったのよ!未遂なのよ!』
「これは俺のシナリオによって進んじょる。それに流されるなまえが悪い」
ふざけんな!と言いたかったがそれは仁王に唇を奪われてしまったことよって掻き消されてしまった。
「いただきます、俺の可愛い可愛いお姫様」
main dish はお前さん
(次の日、小論文未完成によって先生に説教をされたのは言うまでもない。)
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ちょうど授業でやっていたので出してみた
あの話って意外に奥が深いです。
てことで仁王くん
HAPPY BIRTHDAY!
(20101207)