*過去捏造
*とても短い



ランページ。
 我輩は昔、あれの話し相手になっていた。我輩が守りしコロニーで生まれたものは、全て我輩の庇護下にあると考えていたからかもしれない。そして、あれに寄せる感情が、憐れみから来る同情であったことも、否定しない。
 あれは最初、なにも知らなかった。当然だ。実験から作られたものだったのだから。あれは、話しかけてやると大層喜んだ。当時はまだ、可愛いげがあった。
 しかし、いつ頃からか、あれは我々に敵意を抱くようになった。日を増して険しくなる表情、声、火力。話しかけても嫌悪にまみれた顔をするようになった。データも揃ってきたのでいっそ破棄すればいいという意見も出てきた。流石にそれでは解決にならないと、我輩は警戒レベルを上げることを進言した。
 惨劇はその翌日に始まった。次々に破壊される研究室に、あれに応戦するも力及ばずスパークごと破損する同僚。流れ出るオイルで河が出来てしまうほど、何もかもが破壊された。両足を撃ち抜かれ右腕の肩から下を無くした我輩を嘲笑うあれに、最早同情など抱けなかった。動けない私の目の前で、幾人ものトランスフォーマーが殺された。
 我輩は今でも、何も出来なかった己自身が許せない。



 デプスチャージ。
 ワシが生まれた場所は、そりゃあ閉鎖的な所じゃった。世間に賛同を得辛い研究をするためだけの場所で、ワシはただの実験動物。そのことに、ワシはなんの疑問も持たんかった。それしか知らんかったからの。
 変えたのは、アイツじゃ。アイツはワシに色々と話しかけてきた。このコロニーのこと、サイバトロンのこと、デストロンのこと、アイツのこと、ワシのこと。アイツがもたらす情報は、ワシに世界を与えた。ワシは、ワシの意思で生きてええことを知った。
 サイバトロンは自由を尊重するんじゃろ?じゃあワシが、己の思うまま生きようとて、それを邪魔される筋合いはない。そうじゃろう?
 楽しかった。どえりゃあ楽しかったわ。怒りに支配されるアイツの顔を眺めるんは。アイツの仕込んだ知識が、ワシを動かした。アイツの大事で大事でならんもんを無くすはめになったんは、みいんなアイツのせいじゃ。悔しいか?情けないか?ワシを殺したいか?
 なぁ、はようワシのとこに来いや。
2014/02/08
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