「よぉ、相棒」
「…」
「何だなんだ湿気た面しやがって。はっはーん、さてはメガトロン様に怒られたか? それともスタースクリームの馬鹿がなんかやらかしたか?」
「どっちでもねぇよ、ダァホ」
「ちぇ、つまんねーの」
「…ブリッツ、」
「何だ?」
「…俺はよ」
「うん?」
「お前が」
「んだよ」

 きょとんとした顔に若干のイラつきを感じながらも、ブリッツウィングの体を引き寄せかき抱く。何が起こったのか分からなかったらしいブリッツは抵抗もせず、俺の腕の中に納まった。聴覚センサーには、どくどくとスパークの鼓動が届き始める。ああ生きてる。ああここにいる。ひどく、安心する。
 ふう、と短い排気音の後に、背に回る腕の感触。一定のリズムを刻みながら、優しく優しくブリッツの掌は俺の背を撫ぜる。その心地良さに、抱きしめる腕の力を強めた。

「どした、アストロ」
「俺はお前が好きなんだよ」
「知ってる」
「墜落していくとこなんて、見たかねぇ」
「あー…うん、悪ぃ」
「分かってんのか、お前は。すぐにメガトロンだスタースクリームだ言いやがって」
「だってよう、さっきまで怒られてたとこだったんだぜ?」
「そりゃてめぇが悪いからだろ」
「ひでぇ」

 くつくつと笑う声。どくどくと脈打つスパーク。すっかりリペアされた機体。いつも通りの相棒がここにいる。そのことに、ひどく安心した。落ちていく姿を見ていることしか出来なかった歯痒さが、少しだけ霧散していく。あれには肝が冷えた。それを口にはしない。けれど抱き締めるという行動からブリッツが汲み取ってくれていることがなんとなく分かり、また、安著する。

「心配してくれたんだな」
「当たり前だろうが」
「ははっ、あのアストロトレイン様が?こりゃ明日は天地が引っくり返るな」
「言ってろ」

 がむしゃらに逃げ出した先に居た、唯一無二の相棒。他人にこれ程までの執着を見せることなんて、こいつと出会うまでは有り得ないと思っていたのに。ただ、愛しいなんて。ただ側に居たいなんて。
 抱き寄せた先の、フェイスパーツに唇を寄せる。啄むように吸い付き、頬を擦り合わせ、排気した。むずがるブリッツの、微かな動きさえ愛しさが募り、たまらない。

「好きだぜ、相棒」

 ブリッツはいつでも、感情を言葉で表すことが上手かった。今回もあっさりと告げられる。だがその裏表のないところに心底惚れているのだから、問題など何もない。

「…俺も好きだ」

 そのままキスをして、寝台に倒れ込む。きゃらきゃらと笑うその笑顔の為なら、俺は、何でも出来る、気がした。お前に出会えて良かったよ、本当に。



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イメージソングからタイトルをそのまま取りました´`
2013/02/06
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