すりすりと絡みつく脚。
むっちりとした筋肉に覆われ、固いのに柔らかいという奇妙な感触だ。
絡み合う腕。
隙間なく筋肉が付いているはずなのに、手付きはとても繊細だった。
そして胸部に顔を埋められている。
自分の胸は、はっきり言って大きい。
ジェットロン達にはキレられた経験さえある。
俺が悪い訳じゃないのに。
それを、こいつはいつも枕にしてくる。
柔らかさとか、大きさがちょうど良いとか、色々言われた。
相棒自身の胸は残念だから、気にしてるのかもしれない。
ただ、毎晩だ。
毎晩、気付いたら胸元に相棒の頭部がある。
喧嘩して一緒に寝たくなくて、そっぽ向き合って寝た日でも、朝起きたら居るんだ。
顔を埋めて、穏やかな寝顔で。
何がいいのかはよく分からない。
だってこんなもの、重いだけだ。
柔らかかろうが、軍服には納めづらいし、変な目で見られることもある。
昔は隠すのが大変だった。
相棒と出会ってから、防衛手段が相手をぶん殴るだけではなくなったけど。
ただ、相棒は気に入っている。
これにもたれかかることを。
昔はスラストやダージにもしてやってたが、最近は相棒が怒るからやってない。
それほどの価値があるらしいのだ。
寝顔を眺める。
いつもはニヒルな笑みや凄みのある顔をしていることの多い相棒が、一番穏やかな顔をしている時間。
俺が側に居ないときの寝顔は眉間に皺が寄っているので、やはりこれがあることが重要なのだろう。
悪い気はしない。
切りっぱなしの髪が胸元を擽る感触も、逞しい腕が背に回る暖かさも、絡み合う足が離れないと主張していることも。
身を捩れば更にきつく抱き締められる。
無意識の行動に、自分は愛されていると自惚れても良いのだろうか。
独占欲でもいいんだ。
相棒は強く美しいから、俺なんて居なくてもどこででもやっていける。
それなのに俺を側におく理由が、子供じみた欲のためだろうと、相棒がそれを望むなら叶えてやりたい。
このまま、夜なんて明けなきゃいいのに。
2013/04/09