※ロリババァ設定






クラシカルロリータな青のジャンパースカートが翻る。
振り向いた先にあるのはにっこりと微笑む少女。
転がり出たのは少し掠れた女の子にしては低い声。

「お兄さんは新人さんなの?」

それが出会い。


我らがオートボットエリートガード総司令官殿は、勘違いされそうな容貌をなさっている。
青い髪をポニーテールにして、まろい指をした手をそのままに、クラシカルなふんわりと膨らんだドレスにも似たジャンパースカートを身に纏うその姿は、身分の高い深窓のお嬢様のようだ。
実際は身の丈以上もある重いハンマーをぶん回している稼働年数もかなりいった淑女なのたが。
本人は老ける気配のない顔を持て余しているらしく、多少お茶目な性格も相まって、毎年新兵が悪戯の犠牲になっていた。
エリートガード内の誰かの親族かと思い子供扱いしていた少女が、実は直属の上司で総司令官だったなんて。
新兵にとっては忘れられない出来事となるだろう。
事実、何人かは少しの間トラウマになっていたようだ。

期待のホープ、ロディマスも同じ目に合った。
迷子になっていた少女を執務室まで送り届けると、まさかの総司令官その人であったという、悪戯の犠牲に。
ただ、ロディマスの怖いところは、そんな総司令官に惚れてしまったという点だ。
ロディマスにペドフェリアの気はない。
断じてない。
むしろ、超一般的な趣味をしていた。
同い年くらいのボンキュッボンの綺麗系グラビアアイドルが好みだった。
見た目に惚れたわけでもない。
むしろその歳でその見た目って…うわぁ…と引いていた方だ。
それがどうして、脇目もふらず恋情を捧げるようになったのか。
実は割りと、単純な話である。

「ロディマス、ただいま帰還しました」
「やぁ、おかえり。大変だったようだね」
「いえ、大したことはありませんでした。多少、航行時間がかかっただけです」
「ふふ、そうか」

ディセプティコンのとある部隊と交戦し、勝利したという報告をしに来たロディマスを、ウルトラマグナスは笑顔で出迎えた。
普段は総司令官らしく重々しい顔をしていることの多いウルトラマグナスの、久しぶりの笑顔を見て、ロディマスは自分でも驚くほど動揺してしまう。
思わず口答えのような会話をしてしまったほどに、だ。
だがウルトラマグナスは、それをまたしても微笑んですませた。
なんとなく、座りが悪くなる。
逃げるように報告を終え退室するロディマスを、ウルトラマグナスは叱らなかった。

これ以降、ロディマスは、ウルトラマグナスを意識するようになった。
彼女の何気ない仕草――ほつれた髪を束ね直したり、階段を登るときはスカートの裾を摘まんでいたり、声をあげて笑うときは口許に手を添えていたり、など――に、どぎまぎするようになってしまったのだ。
少女の体に、淑女の立ち振舞い。
そして、慈愛に満ちた表情。
歳を経ているからこそ滲み出るそれらに、ロディマスは、すっかり参ってしまった。
年の近い者達との嬉はずかしよもやま話、つまりは猥談にも、ウルトラマグナスの姿が脳内再生されてしまう始末。

よって、彼は諦めた。
気持ちを隠すことに。
彼は決意した。
ウルトラマグナスの、彼女の一番になると。

彼女は身持ちの固い女性である。
年の離れた恋人など、彼女の頑なな一般常識が許さないだろう。
ならばこれは、勝負だ。
彼女の常識と、自身の恋情との。
勝負事なら、負けるのは性に合わない。
必ず、勝たせてもらう。

まずは、自分が恋愛対象に成り得ること彼女に自覚してもらわねば。
こうして、ロディマスはウルトラマグナスに、一途な恋情を捧げるようになったのである。

あとがき 2013/03/23
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