※死ネタ注意



なんとなく、不思議な空間に居る。ここはどこだろう。足元を見ると、地球が見えた。青い星。そこに浮かぶディセプティコンの戦艦。おかしいと思って目をこらすと、視界はどんどんクリアになって、リペアルームに寝転ぶボロボロの俺が居た。すぐ隣には真っ赤なあいつがいる。俺の目に光はない。

ああ、俺は死んじまったんだ。そっか。もう壊せないし、もう改造してもらえないんだ。それは少しさびしいな。俺はこれからどこに行くんだろう。あいつを残して。あいつは新しい助手を付けるのかな。それは少しいやだな。

かわいそうに、あいつは傷だらけになってる。なのに、もう触れられない。どれだけ手を伸ばしても、何も掴めない。てことは、もうあいつをキレイキレイにしてやれないんだ。サボるのを咎めたり、一緒に地上に降りて作戦実行したり出来ないんだ。俺はもうあいつとは別の世界に来ちまったんだ。

そうか、死ぬってことは。壊れるってことは。悲しいんだ。

ごめんな、悲しい思いを、きっとさせちまってる。俺さ、お前のこと、ほんとに好きだったんだよ。お前と一緒にいることが、壊すのとおんなじくらい大好きだったんだよ。お前は知ってると思うけどさ。だから俺達はずっと二人で居たんだ。それが当たり前だったんだ。なあノックアウト。俺達、そうやって生きてきたんだよな。

ああでも。俺の言葉もきっと。風の音として消えてくんだ。

2013/02/11
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