今日は総悟の服を買いに町までバスで行く。私の住んでいるところは住宅地なため、なにか買い物するときはバスで町に行く。というものが主流なのである。
総悟が持っている服は黒い服?総悟いわく隊服というらしいがそれしかないのでお兄ちゃんのを試用していたが、お母さんが
「せっかくだし、買ってきたら?」
というので買いに行くことになった
***
『総悟〜?はやくおりてきてよ!』
なかなか自分の部屋から出てこない総悟に私は玄関から呼びかけた。すると階段を下りる音がゆっくりと近づいてきて
「やっぱり俺…行きやせん」
『……え?』
え?なぜ?としか言いようがない
『何か具合悪いの?』
とりあえず聞いてみる
「違いやす。ばりばり元気でさァ…だけど、桃子に話があるから」
『話なら帰ってからでも』
「今の俺は服を買ったって意味がないんでさァ!」
は?意味が分からない。どゆう意味?買う意味がない?生きてる上、服必要だろーが!頭の中てぐるぐる廻る
私が混乱しているのに気づいた総悟は
「とりあえず気なせェ」
と私の手を引き自分の部屋に行った
***
「今から言うことを信じてくだせェ」
『う、うん…!』
なんだか真剣な話のようだ。前にもこんな状況あったような…
「前、俺言いやしたよね?江戸から来たって…実はもう戻らないと行けないんでさァ」
『…え?江戸時代に…?』
「あぁ、だから服は必要ないんでさ…」
なんでかな、涙が止まらない。まだちょっとしか総悟と居てないの居なくなるのがこんなにもさみしいんだなんて
涙腺が緩んでどんどん溢れる涙に私の視界が涙色に染まっていく
「ちょっと待っててくだせェ」
私は泣きながら頷く
***
泣きやむ前に総悟が戻ってきて、水で濡らしてしぼったタオルを片手に持っていた
「ここに頭乗っけなせェ…」
ポンポンっと自分の膝を叩いて招く総悟
『そ、う…ごぉ』
と、私は言葉に甘えた
やだな、この体制…泣いてくじゃぐしゃになった顔が見下ろしてくる総悟に丸見えだ…最悪としかいいようがない
にしても、こんなにも人の膝は落ち着くのだろうかお母さんのに乗って以来だが今の私にとって最高に安心できる場所だ
「桃子…目閉じなせェ」
目を閉じた私に冷たいものが触れられる
「………きゃ」
濡らしたタオルを目に当ててくれた総悟
「こうやると目が腫れないんですぜ」
『ありがとう…』
「ほんとはすぐに戻るんじゃないんでさ」 『…え?どゆこと?』
戻るんじゃないって、どゆこと?え、涙返してよぉおお
「俺が今好きなやつとキスしたら戻りまさァ」
『ぷっ、なにそのメルヘンな設定!!』
「やめなせェ!そう言われたんでィ」
好きなやつとキス…かぁ。何でだろう胸がズキンとする
でも今日ので私は知ってしまった。
私は総悟のことをこんなにも想っていたのかと。
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