昨日の夕飯に話してたいたのだが、沖田くんは私とおんなじ高校に通う事になった。制服は去年卒業したお兄ちゃんのを貰うそうだ。
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『沖田くーん。まだですか?』
「ちょっと待ちなせェ・・んっと確か、こうだっけな?・・・あれ変だ」
心配になって沖田くんに近寄るとネクタイの結び方が分からないんだそうで
『・・・あの、大丈夫?』
「いやあ、俺の学校学ランだったから・・やってくだせェ・・!」
『え、うん。いいけど』
よくさ、少女漫画とかで「近いよ、沖田くん」とか「夫婦みたい」とかそんな事ヒロインが言うけど、私は何にも感じなかったそう言って、手際よく結んでそっと離れた
「ありがとでさァ」
あ、沖田くんって笑うんだね。いっつも黒い笑いしかしないからなんか新鮮
『うん、じゃあ行こっか』
それから2人は並んで学校まで行った。
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先生が沖田くんを紹介する。沖田くんも自己紹介すると、周りの女の子達はキャーキャーと騒いでいる。
学年にひとりいるよね、こーゆう人
「じゃあ、今日から一緒に勉強する沖田だ。みんな、フレンドリーにな!!じゃあ席は一番後ろのそこに座りなさい。」
先生が指を指した場所は窓際の一番後ろだった。ちなみに私は一番前の窓際から2列目の席である。ちょっぴり残念だ。私にはあまり友達がいないから出来れば近くが良かったなぁ・・と思ったのだ
「先生、俺ァ目が悪いんで、一番前でもいいですかィ?」
「あぁ、そうか。じゃあ列の一番前に沖田な。後はみんなずれるように」
皆が「はーい」と言って移動させる。すると私の隣に沖田くんがやってきた。
『隣だね、』
「そうですねィ」
にこっと微笑む彼。その時、私は沖田くんは目がいいなんて知らなかったのだった。
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お昼休みになった。
『沖田く―…』
一緒にご飯を食べようと思ったんだけど、沖田くんは周りの女の子達に囲まれていた。
私は諦めて、購買部にパンを買いに行った。今日はお母さんが寝坊してしまったのだ
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購買部に行くと、人が沢山居てまるで戦場だった。
『今日はお昼抜きだなぁ…』
ちょっぴり、お母さんを恨んだ。
すると後ろから声がして、
「桃子!!」
声の主は沖田くんだった。周りには女の子達は居なく、ひとりで大量のパンを抱きかかえていたのだ。
すると沖田くんはひとつパンを私に握らせた。
『わあ、苺タルト!!一番すきなやつだよ!』
そして購買部のパンで一番人気なやつである。
「やっぱり?そうだと思ったんでィ」
『あ、お金・・』
「いや、居候さして貰ってるお礼でさ。・・・お、あのベンチ空いた!行きやしょう」
彼は私の手をギュッと握り、ベンチまで連れて行った。
そこで、少し胸が高鳴る自分が居て・・
その日はベンチでふたりで食べた。
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