まとめ | ナノ





その日の放課後もいつもと同じように玄関へ行って彼氏である総悟を待っていた。

段々肌寒さにも慣れてきたこの季節。

当然のように総悟からもらったマフラーをして、冷たくなった手に時々息を吹きかけながら部活を頑張っているのであろう総悟の姿を思い浮かべて一人で笑ってた。

総悟と付き合ったきっかけはあたしの告白だった。

ダメもとで告白したらまさかのOK。何度も何度も聞き返してその幸せを噛み締めていたっけ。

整った顔しててそれだけでモテる要素は揃ってるのに、総悟は優しい。そりゃドSでもあるけどあたしが総悟を好きになったのは優しさがあったからだ。

先生の手伝いで大量のプリントを運んでたらつまずいちゃってプリントをぶちまけたときがあった。そりゃもう軽々と100枚は超えてたから集めるのはすごく大変だったわけ。

そんなときにただ通りすがっただけの総悟が「大丈夫ですかィ?」なんて言って手伝ってくれたの。話したことも関わったことさえないあたしに。その場でノックアウト、要するに二目惚れ。

存在は前から知ってた。ていうか、総悟を知らないって人はきっといない…いや、絶対に。

だからそんな有名人とこんなどこにでもいそうなただの女子高生が付き合っちゃってもいいのかな、なんて思ったりして。

実は、付き合ってようやく1ヶ月経った今でもそれは思ってること。

総悟からの“好き”って言葉…聞いたことも見たこともない。あたしの告白の返事にただ「俺でいいならいいですぜ」なんて言うだけだしそのときはそのときでそりゃもう幸せ万歳だったから嬉しかったけど。

こう…慣れてくるとやっぱり“不安”ってものがあたしの中に生まれてくるわけで。

最近なんかは特にそっけない。手を繋ぐだけ、それ以上は何もなくて。

別に望んでるわけじゃないし、しないならしないで全然いい。だけど普段が普段だから、証にできる何かがないと不安で不安で仕方なかった。

部活終了の放送、ゾロゾロと出て来る生徒たち。その中には何人か剣道部の人もいたけど総悟の姿は全く見当たらなかった。


「…あ、お前…」

『あっ、えっと…土方くん、でしたっけ?』

「あァ。総悟待ってんのか?」

『はい。その…部活、終わったんですよね…?』

「総悟ならもう来ると思うぜ。アイツ、今日はやけに大真面目で今はきっと掃除してる。」

『そうなんですか、ありがとうございます。』


それじゃ、と言ってその場を去って行く土方くん。…やっぱり有名人は違うなぁ…

この場にいようかどうしようか迷ったけど居ても立ってもいられなくなって体育館へと走る。

まだ電気は点いていて何やらゴソゴソとしている音が聞こえた。何となく、総悟の声も聞こえる。

声をかけてみようと体育館へ一歩足を踏み出したところで、聞こえた会話の一部にあたしは目を見開いて立ち止まった。


「そういえば沖田さん、彼女できたんですよね?」

「山崎おめェ…いつの話してんでィ。そりゃもう1ヶ月も前の話ですぜ?」

「え?別れたんですか?」

「んなわけねェだろ殺すぞ。1ヶ月経ったってことでィ。それくらい分かりやがれ。」

「へェ…珍しいですね、沖田さんが長く続くなんて。と言っても1ヶ月ですけど。」

「……いつの話を掘り起こすつもりでィ」

「いや、別にそういう気は。でもそうじゃないですか、今までは言い寄ってきた女子全て振るだとか付き合っても長くて一週間。一時期女ったらし呼ばわりされてたでしょ。」

「…まァ、そんな時期もあったな。」

「だからびっくりですよ。きっと周りの人も驚いてるんじゃないですかね。」

「……勝手に驚いときゃいいだろィ。」


まさか、総悟にそんな過去があったんなんて知らなくて。初耳、初知り。

なんだかんだ言ってまだまだ知らない部分もあるんだなってちょっと寂しくなった。


「どういう心境の変化ですか?」

「何が?」

「だから…そんな一定の人と、長く付き合うなんて…」

「いけねェことなのか?」

「いえ!そういうわけじゃないですけど…なんていうか、ちょっと気になって。」

「…すいやせん、俺はそういう趣味ないんで。他に当たってくだせェ。」

「どんな勘違いしてんですか。」

「どういう心境の変化って言われてもなァ…分からねェのか?」

「え?」

「そんなの一つしかねェだろィ?」




「だから、なかなか手も出せねェ。つーか出したら止まる気がしねェ。」

「……沖田さんそれ、願望滲み出てるようなもんですよ。」


そう言った総悟の顔は、ひどく真っ赤だった…気が、する。


(…あれ、どちら様ですか?)

(わっ…!あ、あたしはっ…!)

(…!おまっ…いつからそこにいたんでィ?!)

(いやっ!あたしは何も聞いてないよ!うん!)

(…まァ、聞いてたなら都合いいじゃねェか。手加減なしでいきやす!)

(えっ…えぇぇぇぇ!)

(なんでィ、お前いっつも物欲しそうな顔してたじゃねェか。結構我慢すんの大変でしたぜ。)

(しっ…してない!断固してない!)

(………俺がいるの、忘れないでもらえますか?)





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相互記念!雛雨様へ!

うっわ…なんだこれ!笑えます!

こんな駄文すみません…

最後までまとまってないわけ分からん文章でした!

雛雨様、これからもよろしくお願いします!


2011.02.17 みう







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