照明の影響かいつもより深みを増した色合いの碧い瞳から、透明な雫が落ちた。一旦零れ始めたそれは止まることなく、次から次へと頬を伝い落ちていく。
竜持は目を細めると、琢馬の顎に手を添えて上を向かせた。白磁の肌に触れた指先が、涙で濡れる。

「ほら、青砥クン。そんなに泣いていたら、体中の水分が無くなってミイラになってしまいますよ。博物館に展示されちゃいますね」

竜持の言葉に、琢馬の顔が歪む。ミイラ怖い、とどこか舌足らずに呟いたその手は、竜持のシャツの裾を強く掴んだ。


成人してから新たに分かったことの一つに、琢馬の泣き上戸というキーワードが上げられる。ケガをしても、試合で負けても泣かなかった子が、アルコールが入ると堰を切ったように涙を流すのだ。思考力も低下するらしく、いっそ出会った頃よりも子供らしいのではないか、と竜持は考える。

「ミイラになりたくなければ、頑張って泣き止みましょうか」

そう言って、琢馬の目尻に口付けた竜持を、正面の席に座った彼の兄と弟が見つめていた。

「おい、あれ竜持も酔ってるだろ」

凰壮の言葉に、虎太が頷く。
エリカと玲華を駅まで送りに行った翔と多義も、そろそろ帰ってくる頃だろう。二人が戻ってくれば、このどうしようもない雰囲気も何とかなるはずだ。そう願って、凰壮は取り皿に載った唐揚げへと視線を逸らした。





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