※慶応三年、弥生


気持ちの整理はつけたはずだったのに、実際に山南さんがいなくなった新撰組を目にするのは辛かった。
総長とはいえ、局中法度において例外など許されないことは理解していたし、それについて総司や副長を責めようと思ったこともない。ただ、何も考えたくなかった。



花別れ



遅咲きの桜が花弁を散らす中、どうしても行くの、と問う総司に頷きで返す。御陵衛士として正式に新撰組を離脱することが決まった。明日には、屯所を出て行く手筈になっている。


新撰組に未練が無いと言えば嘘になる。その心残りの大半が、目の前の友人のことだ。
総司を腕の中に引き寄せ、こめかみに接吻を贈る。親愛の意味と、無事であるようにという祈りも込めて。



「さよなら、総司」









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