※35話 |
三つ子が廊下にぽつんと佇む蒲公英色を見つけたのは、三人揃って集まっていた虎太の部屋を出たのと同時だった。その小さな背中がいつもより寂しそうに見え、竜持が声をかける。 青砥クン、と呼ばれて振り向いた少年は、宝石のように美しい青色の瞳で、ゆっくりと瞬いた。 「多義は?」 虎太の問いに首を横に振り、いない、と口にする。そういえば、と今度は凰壮が口を開いた。 「多義なら、杏子さんたちと出て行くの見たぜ」 「どこへですか?」 「さぁ?」 凰壮と竜持の会話に、そう、と頷く青砥の表情は、いつもと変わりない。けれども、三つ子たちは寂しそうだと感じる。綺麗な色の瞳が、深い水の色に沈む。 僅かな変化にも気付くようになったのは、それなりの時間を過ごしたからだろうか。同じチームになる前から青砥を気にしていた三つ子にとっては、この親に置いて行かれた子供のようにしている青砥を放っておくという選択肢はなかった。 「一緒にロビーに行きませんか」 竜持が言う。 僅かに揺らいだ青色の瞳が一つ瞬いて、細い首が頷きを返した。 - - - - - - - - - - 青砥と三つ子の組み合わせも可愛くて好き。 2013.02.02. |