「ああもう堪んない! わたしもう今日こそ告白する!!」

「はっ!?」



切磋琢磨する部員を眺めながら微調整している最中になまえが叫んだ言葉に、私は思わず目を剥いた。

ついさっきまでドリンクの準備をしてくれていたなまえはその仕事は既に終えてしまったらしく、今はうっとりと夢見るような目付きで練習風景を眺めている。

しかしまぁ、あれだけハッキリと叫べば体育館内には余裕で響き渡るわけで。
部員全員が一瞬動きを止めて、ざわ、とこちらに視線を集めるのも当然のこと。
なまえの好意対象を知っている私にしてみれば、頭を抱えたくなるような状況だ。

今が部活中であることはこの際置いておく、けど!
告白する!、って宣言してどうすんじゃい…!!



「おお! なまえ告白するのか!!」



しかも本人が乗ってきたし…!!

青ざめたのは私だけでなく、なまえの想いを知っている日向くんや伊月くん…というか張本人以外の二年生全員が各々頭を抱えた。



「頑張れよ! 応援してるぞ!」

「うん! ありがとう木吉くん!!」



応援する時点で望み薄じゃない…! しかもお礼言う場面じゃないし…!!

なのにどこかのネジが外れた後に形の合わないものを捩じ込んだような、似た者同士な二人組はこちらの心境も知らずに真剣に向き合っていた。

どうすんだこれ!?、というアイコンタクトをくれる日向くんに、どうしようもないわよ!!、と同じように返した時、なまえが大きく深呼吸するのが見えた。

って、まさか、今ここで…!?



「それじゃあ木吉鉄平くん! 好きです! 付き合ってください!!」

「おう!!……って、ん? オレか!!」

「お前だよ!!!」



一年生まで混ざった総ツッコミに、肝心の本人は特に効果はもたらさず。
なまえの告白に驚いていたかと思えばすぐさま相好を崩した鉄平に、どよめきが起こったのは仕方のないことだった。



「じゃ、恋人同士だな!!」

「はぁあああ!!?」







爆弾投下コンビネーション




「ちょ、まっ…あんたさっき応援しようとしてたじゃない!!」

「ああ!」

「ああ! じゃねーよ! 意味わかんねーよダアホ!!」

「好きな奴の告白なら応援するだろ?」

「好きな奴…好きな奴……っどうしよう木吉くん、嬉しい!!」

「マネージャーもちょっと、いやかなりおかしいからね!?」

「オレも嬉しいぞ!」

「てめぇはちょっと黙らんかい!!」
20120716. 
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