いつものようにくたびれた身体を引き摺っていた部活帰り、校門前で偶然鉢合わせた女子が、あ、と目を瞠る。
一瞬何か声を掛けるべきかと悩んで、結局言葉は見つからず。ほんの少しだけ表情を弛めて会釈すれば、彼女の方も笑顔を作って応えてくれる。近くにまだ部活仲間がいたこともあってそのまま通り過ぎれば、珍しく人の動きを見ていたらしい火神くんに横から訊ねられた。



「知り合いか?」

「…はい。中学時代の」



友人、とも知人、とも明言できなかったが、隣に並ぶ彼はそんな言葉の節々まで気にするような質でもない。
関係を問われたところで答えられなかっただろうし、そうでなくとも軽い挨拶から会話が広がらない相手だ。取り分け仲が良いようには、周囲からは絶対に見られない。そのことを思うと胸に重石が落ちてくるような気がした。

日常の取り留めもない話に興じる仲間に混じって帰路に足を進めながら、彼女の髪が少しだけ伸びていたことを思い出す。昔はショートヘアにいつも薄青い色のピンを差していたけれど、先程見掛けた時はセミロングほどの髪を橙色の髪留めで纏めていた。
あの色が好きだと言っていたのに。思い出ごと捨てられたような気分になる、自分が嫌だ。
些細な変化にじくじくと胸が痛み、息苦しい思いがするのは、それだけ未練が残っているからだと虚しくも理解していた。









彼女と知り合ったのは、中学に入学してそう経たない時期だった。
特に運命めいた出逢いでも何でもない。ボクが入部を決めた男子バスケ部にマネージャーとして入部してきたのがみょうじなまえさん、その人だった。

秀でた能力があるわけでもないが与えられた仕事は必死にこなしていた彼女は、二軍三軍の管理を主に受け持っていた。その流れで、まだ三軍からのし上がれずにいたボクとも自然と関わりが増えていった。
みょうじさんは無邪気な人だった。そこまで器用な人ではなかったけれど、誰かのためになることに一生懸命になれる人だった。同じマネージャー仲間でも能力を認められ一軍に付きたいという女子達とは少し違って、身体能力が劣り不遇な位置にいても諦めずにいる人を、どうにか支えて背中を押したいと語っていて。
明るい笑顔と、揺れる短い髪にいつも咲いている薄青い色の花のピンが印象的だった。



「みょうじさんはその色が好きなんですか」



部活後の自主練に、一緒に居残ってくれる彼女にふと訊ねたことがある。
親しくなってから気付いたことだったが、花のヘアピンだけでなく、タオルやペンケース、ポーチに至るまで彼女の持ち物は薄い青色で満ちていた。
休憩の合間に疑問を口にしたボクに、嬉しそうに頷いたみょうじさんは前髪を飾るその花を指差した。

青磁色っていうんだけど、と。



「元から好きな色なんだけど。最近は見てるとよく、黒子くんを思い出すようになったなぁ」



薄い緑色、青色のことを指すらしい。秘色という呼ばれ方をする辺りも、なんだかぴったりだと彼女は笑った。
その言葉が色濃く胸に刻まれたのは、まるで自分のことまで好かれているような気持ちになったからだろう。酷い自惚れだ。けれど、当時誰よりも彼女が近い位置で自分を気に掛けてくれていた自覚はあったから、もしかしたらその時は自惚れではなかったのかもしれないと、今になって思うのだ。
少なくとも、他のどの部員よりも話をする機会は多かったし、練習にも付き合って応援してくれていた。何とも思っていない人間に向ける優しさとしては、過度なものだったというのが客観的な視点からの感想で。
それでも、秘かにあったかもしれない想いを踏み潰したのが自分なら、当時の自分の自惚れすら許し難いものがあった。

やがて相棒となる青峰くんと出逢い、赤司くんの計らいで自分のスタイルが認められ一軍に上がった後。厳しい練習に耐え、漸く選手として活躍できるようになったボクは、人間観察に勤しみながらも狭まってしまった視野に気付かずにいた。
実力者の中に混じり自信を得た代わりに、自分よりも優れた身体能力を持っていようと運には恵まれず、ほんの一歩上へ届かない部員から自然と目を逸らすようになった。
仕方のない話ではあると思う。どうしてお前がと、一軍レギュラーに組み入れられない部員達から僻まれることも少なくはなかったし、負の感情ばかり受け止めるのは到底楽なことではなかった。

ボクだって必死に努力して、知恵と知識を振り絞って、賭けに勝ったからこそ此処にいる。それをとやかく言われるのはお門違いだ。
そう虚勢を張ったところで、彼らの気持ちは痛いほど分かってしまった。努力や実力の認められない悔しさは、半端なものではない。
真っ向から否定できるほどの心の強さはなかったボクは、自分を否定する大きなグループから丸ごと目を逸らしていった。そうすると途絶えかけていた彼女との繋がりも殆ど自分から切ってしまったようなもので、それまでの付き合いがなかったかのように、時折擦れ違い様に軽い挨拶を交わす程度の仲へと二人の関係性は変わっていった。

正直に言えば、胸は痛んだし寂しさも感じた。それでも、勝ち続けるために自分の力が活きるなら、どんなことにでも耐えられると思っていたのだ。
実際、突き進むと決めてから歯車が壊れてしまうまで、ボクは彼女のことを思い出す暇もなかった。思い出したとしても同じ関係には戻れないと、離れた距離を詰めることを諦めていたのだ。



「最近…一軍の雰囲気おかしいよね」



偶然でも何でもなく、部活終わりを見込んで彼女が声を掛けてきたのは、キセキの世代と呼ばれた仲間達の一部が練習に顔を出さなくなった頃のことだった。
力を尽くさずとも試合には勝てる。才能を開花させて急激に成長した彼らがチームプレイを捨て、自分自身が選手としてコートに立つ意味を失いかけていた時、既に友人ほどの付き合いすらなくなってしまっていた彼女はボクを気遣ってきたのだ。

マネージャーであれば、部活内の事情は把握できる。公式戦だって目にしているのだから、レギュラーメンバーの仲違いとも呼べない変化については彼女もとっくに知っていただろう。当然のことでもある。けれどそれが、ボクにとっては途轍もなく嫌なことだった。
話し掛けられてしまったことで、自分のいる現状を知っているのだと、思い知らされてしまう。骨身を削って、心まで殺して尽くしてきたのに、一度手に入れた確かな立ち位置は今や瓦礫の山となっている。
そんな姿を見られるのが嫌だった。彼女には一番、見られたくなかったのだと思う。



「黒子くんは大丈夫?」



いてもいなくてもいい、数合わせのシックスマン。その称号だけでも惨めなのに、腫れ物に触れるように話し掛けてきた彼女にまで、取り繕えるような余裕はなかった。
現状なんてもっと早くに知っていたくせに、どうしてここまで壊れてしまってから話し掛けてくるのか。気にするならもっと早く来てほしかったし、今になるならもう話したくもない。そんな自分勝手にも程がある思いを抱えていて、昔のように笑えるはずもなかった。

みょうじさんはもしかしたらずっと、三軍を離れた後も変わらず気に掛けてくれていたのかもしれない。けれど、その時深く暗い部分まで沈みきっていたボクの心には、彼女の言葉は白々しいものにしか感じられなかった。



「すみません。放っておいてください」



まともに取り合う気もしなくて、それでも酷い言葉を浴びせる前に一度はその横を通り過ぎようとしたのだ。
けれど、強く拒まなかったからだろう。彼女は慌てながらも追い掛けてきて、ボクの行き道を塞いだ。



「ちょっ、待って…あの、黒子くん? 私でも愚痴くらいは聞けるから…」



何故か、当事者でもないのに悲しげな顔をしながら発せられた言葉は、無意味な優しさの押し売りのように思えた。
冷静ではなかった。疲れてもいた。彼女を信頼していた頃の気持ちは殆ど消え失せていて、秘色が薄らぎ透明になるように、見えなくなっていた。
だから、一度は堪えた悪態が、止める暇もなくこの口から飛び出してしまった。



「愚痴を吐いたところで、何が変わるんですか」



遠ざかったのは自分の方なのに。傍にいなかったくせにと、責め立てたくて仕方がなくて。
その時せめて、彼女の表情にもっと気を配っていれば留まることもできたかもしれない。けれど、それも、後の祭りだ。



「同じ立場に立ってないのに、あなたに何が解るんですか」



一軍にいなかったくせに。今の今まで見て見ぬふりをして、関わろうとも正そうともしなかったくせに。

冷静になれば、とても理不尽な言葉をぶつけたと解る。あまりにも自分勝手な憤りを、他に逃しようがなく燻っていた不満を、何もできない彼女に向かって一方的に奮った。
それでも、その時だって頭に昇った血が下がるのは早くて、すぐに我に返って訂正しようと思ったのだ。失言だったと気付くのに、数秒も掛からなかった。
焦りに駆られて顔を上げて、初めてきちんと向かい合った。けれど、そうすると今度は喉元で息が詰まってしまって、声が出なくなる。
一度口にしてしまった言葉は、二度と喉奥に仕舞い込めやしなかった。

ごめんね、迷惑だったね。
そう言いながら、傷付いて揺れる瞳が、もうボクを捉えていなかった。



「黒子くん…なんか、変わったね」



泣き出しそうな顔で無理矢理に笑顔を作った彼女は、ただ一言、それだけを口にしてボクに背を向けた。
逃げるように早足で去っていくその人を、追いかけなければと思っても、足は地面に縫いつけられたまま一歩も踏み出すことができなかった。
馬鹿なことを言った。酷い我儘で切り捨てた。たった一言、あの言葉がどれだけ彼女の胸を切り裂く刃になったのかは分からないが、きっと付けてしまった傷は浅くはなかった。そうと解るから、気安く声を掛けて謝罪することもできなくて。

そうこうしている内に、ボクよりも先に彼女は進んだ。全中三連覇を果たした夏より少しだけ前に、彼女の姿はバスケ部の中から消えてしまっていた。
いつの間にか。そう、本当にいつの間に彼女が部を離れていたのかも、ボクは知らない。
自分の心も折れきった時、思い出したのはまだ三軍で足掻いていた頃、いつだって明るい笑みで背中を押して励ましてくれていた彼女の姿で。
会いたくて、声が聴きたくて堪らなかった。校内でその姿を探してみても、いざ視界に入れてしまうと向き合う勇気が出てこなかったけれど。
向かい合ってみたところで、もう同じ時間には戻れない。何の遠慮もなく笑い合えていた頃のように、この口も動いてはくれなかっただろう。
確かに輝いてそこにあったはずの月が、雨に降られて隠されてしまうように。あれからずっと、ボクの視界から彼女の姿は遮られたままだ。









ろくに関わりもなく、顔を合わせることがあっても今度こそ全く言葉を交わすこともなくなったのに進学先が被ったのは、本当に偶然だった。
巡り合わせにも限界がある。同じクラスには所属できなかったため、気付くのは遅れてしまったけれど。廊下で偶然擦れ違った時の衝撃は忘れられない。

奇跡のようなものだと思った。もう一度チャンスが巡ってきたように思えた。実際、もうこの先に同じような幸運は訪れないだろうと思った。
一年以上も前の失敗を謝罪するには、今しかない。解っていた。解っている。彼女は人の言葉に耳を傾けられる人だ。きっと話したことはきちんと受け取ってくれる。解っている、けれど。



(言って、どうする)



何になるんだ、そんなもの。
今、謝罪を口にしたところで、その後に来るものが分からない。謝って許してもらえたとして、その先は? また今まで通り、知人にも満たないような関係に戻るだけだとしたら耐えられない。何も変わらない。

伝えたくて燻っている気持ちがあの時のように乱暴で汚れたものなら、口を噤んでいた方がずっとマシに思える。もし、優しく綺麗なものだったとしても、彼女に迷惑をかけるものであるなら言葉にしてはいけないとも。
自分がどう思われるかは、どうだっていい。傷付けられても仕方がないことと割り切れる。けれど、再び彼女の心を傷付けてしまうことだけは恐かった。
二度と、涙を堪えるような笑顔は見たくない。そう願うこと自体、結局は自分のためでしかなかったのかもしれないけれど。

ボクはきっと一度、そこでも諦めてしまった気がする。
どうしたって以前のような関係に戻ることは不可能だと、身勝手な絶望に一人で浸って取り落としてしまったものを悔やむだけ悔やんで諦めたつもりでいた。今の今まで。
けれど、駄目だった。やっぱり、どうしても忘れられなかった。
髪が伸びて、薄青い花のヘアピンが消えて。好きだと語っていた、ボクを思い出すという色が彼女の身辺から綺麗に消え失せているのが、たまにその姿を見掛ける度に胸を抉ってきて。誰かと笑っているところを見つければ、その相手に嫉妬した。自分の知っていた彼女の要素がどんどんなくなって、殆ど知る部分のない他人になっていくのを目にすると、頭がおかしくなりそうだった。

ああ、結局ボクは、今までも今も、諦めきれないのか。
今までも今も無理なら、これからだって変わらない。

彼女への想いが彼女以外に消化できるはずもなく、逃げることも進むこともできなくなったボクはのし掛かる重みをいつまでも抱えていることしかできないのだと、悟ってしまった。



「…黒子くん?」



久々に彼女の顔を見た翌日の、夕方のことだ。ざあざあ、ぴちゃぴちゃと重なって音を奏でる雨粒に混じって、自分を呼ぶ声を拾った瞬間に息が止まった。
驚いて振り向くと、ちょうど履き替えたばかりなのか、下駄箱のタイルにつま先を打ち付けているみょうじさんがいた。



「何だかよく会うね…って言っても二回か」



ごめん、やっぱりそうでもなかったかな。
突然話し掛けられたことに呆然としてしまって、喉がからからに乾いてしまっていた。
そんなボクの顔を見て何を思ったのか、申し訳なさそうに眉を下げた彼女に、心臓が嫌な音を立てるものだから、慌てて首を振った。



「っ…いえ、すみません…そうですね」



話をしている。それも、彼女の方から話し掛けてくれた。
喜びと困惑で、ぐるぐると回る頭が追いついてこないけれど、言葉に迷っている場合ではない。
何か、話さなくては。時間を引き延ばさなければいけない。こんなこと、もうこの先あるかどうかも分からないのだ。できることなら、この一度きりで終わらせたくない。



「みょうじさんは…もう帰るんですか?」

「部活やってないからね。黒子くんは、またバスケやってるんだ」

「はい……あのっ」



開きっぱなしの扉から、雨の音がずっと響いている。一度そちらを窺った彼女が今にも帰りたそうにしているように見えて、指先に震えが走った。

扉の外からボクへと、再び意識を向けてくれる彼女の動作がやけに鈍く感じたのは、この期を逃すまいと焦っているからだ。
どうにか落ち着くよう、自分自身に言い聞かせる。久々にしっかりと合う視線に怖じ気づかないよう、大きく息を吸って、吐き出した。



「もうすぐ、冬の大会があるんです」



首を傾げながらも待ってくれるみょうじさんがこんな話を聞いてどう思うのかも、いざ向き合って言葉を交わし始めると気にする余裕はなかった。
ぱちりと瞠られた瞳は、一瞬だけ揺れてから元に戻った。嫌悪の欠片も滲ませずに、彼女は柔く頬を弛めた。



「…そ、か。頑張ってる?」

「はい。…誠凛のバスケ部はみんなが必死で、それだけバスケが好きで……とてもいい部活だと思います」

「そう…」



彼女は、ボクを責めようとはしなかった。けれど、それだけだった。
言葉を言葉以上に受け取ることはなく、自然な笑みを浮かべた。



「黒子くんが楽しそうで、よかった」

「っ……」



あなたは、と。口を突いて出てきそうな言葉をギリギリで飲み込んだ。軋んだ胸の痛みを誤魔化すために、奥歯を噛み締めた。

よくなんかない。



(何もよくない)



もう、彼女の中から、あの頃の情熱は消えてなくなってしまったのだろうか。
中学時代のボクらの試合は彼女にとっては見ていられない程のもので、今更どんな弁解をしてもきっと全ての言葉は届かない。そんなことは解っていたけれど、安堵したように頷いた瞬間ふわりと揺れた前髪に、薄青色の花が咲いていないことが、苦しい。

あなたは、今のままで楽しいんですか。その色を身に付けなくなったのは、ボクを思い出さないためですか。
自惚れにも程があるかもしれない。そうは思っても、間違っている気もしなくて、訊ねられない。引き攣る喉から声なんて出せるわけがない。
漸くこれだけ言葉を交わせたというのに、遠く離れた距離をまざまざと思い知らされて、心が悲鳴を上げるようだった。



(それでも)



そう。それでも、だ。
諦められる自信だけは、どうしても湧いてこない。
いつかはもう一度、知人よりも友人よりも近い距離に行けることを願わずにはいられない。ボクはどこまでも貪欲で身勝手な人間だった。



「あの…っ」



掠れかかった情けない声を、それしかできないから、絞り出す。

偶然に縋りきっていて、まともに会話もできないような関係だけれど。
今は、それでもいいから。



「無理、だったらすみません。…試合、観に来てくれませんか」



そう、ボクが言い終えたと同時に、ぎしりと、機械仕掛けの人形か何かのように彼女の動きが止まった。
今までで一番長い沈黙が流れて、その表情も僅かに強張るのを確認できた。

けれど、一度口にした言葉は、二度と喉奥には戻ってこない。



「…え……」

「絶対、勝ちますから」



途端に合わなくなった視線が、四方にさ迷わされる。つきりと胸を突く痛みは、それでも我慢できる程度のものだった。

今すぐにこの距離をどうにかできるとは思えない。しようとも思っていない。ただ…
ただ、もう一度、今のようなぎこちなかったり遠慮の混ざるものではない、本物の笑顔を見たい。
我儘でも、どうしても捨てきれない願いを、押し殺せなかった。

みょうじさんは、困惑を隠さずに顔に出すと、僅かに俯きながら声を潜めた。



「…私、バスケに関わるもの、全部なくしたの」

「…はい」

「まだ、整理のついてない部分もあって。だから…」

「なら、待ちます」



気をつけて耳をすませていないと、雨音に消されてしまうくらい小さな声だった。
それでも拾えた。受け取れたのだから、今度こそ大事に、正しく消化してみせる。
最後まで彼女はボクを責める言葉を吐かなかったけれど。それを都合良く許されたとは、思いこめないけれど。
待つと告げたボクに、彼女は不快感ではなく、驚きをその顔で示してくれたから。長くなるかもよ、と気遣ってくれたから、恐いものはなかった。

漸く満たされるものを感じて、彼女に笑顔を向けることができた。
どれだけ長くかかっても、構わないですよ。



「その気になってくれるまで、声を掛けます。ボクは、いくらでも待てますから」



待つことだけは、許してくれるんでしょう。あなたは優しい人だから。
それがボクにとって大きな救いで、今にも泣き出したいほど嬉しいことだなんて、知らないんだ。






秘色の花を咲かせる、いつかのために




もう一度、あなたと始められるなら、降りしきる雨を浴び続けることも苦ではない。



#和の文字パレット 18番【秘色・雨月・想い馳せる】

20140908.
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