ifで主人公独白
ふとした瞬間に、好きだな、なんて口をついて出そうになる。 慌てて口を塞いだり、ぽろっと出てしまってしどろもどろにごまかしたり。 そろそろバレているんじゃないだろうかと、思うけれど、……幻滅されてない辺り、多分バレてない、はず。
彼は俺のことを、息子のように思ってくれていて、可愛がっていてくれて。 実の息子であるギノザ監視官はいつも複雑そうな顔で俺らを見ている。 俺に少しだけキツく当たるのも、仕方ないとは思うし、わかっていてやっているのだから文句を言える立場でもない。 ――けどさ。 良いじゃないか、君は、彼にどんな態度を取っても、きっと気にかけてもらえるんだ。
俺は、彼の優しさを裏切るような感情を抱いてしまったから。 いつか、隠しきれなくなって幻滅されるのだろうから。 せめて今だけ、いまだけ、側に居て、彼との思い出を増やしても良いだろう?
「……ねえ、ツネモリ監視官、」 「はい?」 「ヒマラヤユキノシタって花の、花言葉…知ってる?」 「え…、…すみません、わかりません。」 「だよねぇ…ごめん、忘れて。」 「え、あの、由良さんっ…?」
優しい笑みの奥に (花言葉は『秘めた感情』)
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