宜野座と

「おはようございまーす。」
「…遅い。」
業務開始時間きっかりに顔を出した由良に、宜野座の低い声が飛ぶ。
「遅い、って…ちゃんと間に合ってはいるでしょ?」
飄々と悪びれない言葉に、空気がピリッと音を立てたような気がした。
「…次こそ遅刻しそうな時間に来ておいて何を言っている。」
「やだなあ、今日はたまたまじゃないか。いつもはもうちょっと早いし。」
「そういった油断が失敗を招くんだろう。」
「そう? だとしたらギノザ監視官も油断しないようにね、人のふり見て我がふり直せ、って言うよ。」
「余計なお世話だ。そもそもお前はいつも――」
「け、喧嘩しないでください二人ともっ」
淡々とした口喧嘩が本格化しかけたところで、常守が慌てて止めに入る。
しかし由良は平然と、喧嘩なんかしてないよ、と笑うだけで、余計に宜野座を刺激したように思えた。
「…、…時間の無駄だ、さっさと仕事をしろ。」
苛立たしげに溜め息をつき、画面に視線を移した宜野座を横目に、由良は常守に笑いかける。
「ごめんね、ツネモリ監視官。いつものことだから、あんまり心配しなくても大丈夫だよ。」
「で、でも…」
「だーいじょうぶだって。ホントいつものことだし、いちいち気にしてたら身が持たないぜー?」
納得いかないというふうな常守を、今度は縢が笑いながら諭した。
「…仲、悪いんですか、」
小さく呟いた彼女に対して、由良は別段気にした様子も無く答えた。

まあ、少なくとも仲良しではないよね。
(それはどこか含みのある言葉だった。)


(ちなみに、ギリギリになってしまった理由はなんだったんですか?)
(ん? あぁ、今日はほら、トモミさんが非番だから。)
(え…っと?)
(まーたとっつぁんのトコかよ。お前も物好きだなー。)
(え、あぁ、征陸さん…、(…え、なんで?))
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