10000 | ナノ
先輩×青葉


*女主に尽くす青葉君の甘い話でエロ任意(レノ様)
*時間軸的には例の覚醒帝人の後らへん
*だけど紀田君が普通に学校で皆と昼ごはん食べてます
*エロくはないけど痛い事はしている話















来良学園屋上、昼休み。
大半の生徒は、友達とこの時間の為に登校していると思います。
屋上のベンチに腰掛け、仲が良い友達3人と昼食を食べている所で、いつも通りその闖入者は現れました。

「なまえ先輩!今日は何を買って来ますか?」

にこにこと満面の笑みで私の足元に跪いた彼の名前は黒沼青葉君。
一つ年下で自称私の忠犬であるペットのレッサーパンダくんです。
何故レッサーパンダかと言うと、女の子と見紛う愛くるしいお顔にも関わらずお腹がまっくろだからです。もちろん本物のレッサーくんと違って、彼の場合は性格的に、という意味ですが。

「じゃあ、緑茶とアップルジュースお願いします」
「はいっ!」

頼めば、すかさず返事をして歩き出そうとする彼は、不意に立ち止まって先程とは違う種類の笑みを浮かべ私では無く一緒に食事を摂っていた友人、竜ヶ峰帝人、園原杏里、紀田正臣の方を向きました。

「ついでに、帝人先輩達もいかがです?先輩のついででよければ、ついでに買って来ますよ」
「え?…いや、いいよ、僕自分のペットボトルあるから…」
「あ、私も…いいです」
「俺コーラ!」

わざとらしくついでという言葉を三回も使った青葉君に、帝人君と杏里ちゃんは困った様に首を振って断りましたが、正臣君は気にした様子も無く自分の注文を済ませました。流石、正臣君です。私も彼のそういう押しの強さを身に着けたいと常日頃から精進を続けている次第です。ひく、と僅かに眉を動かした青葉君ですが、私の前で私の大切な友人を口汚く罵るなんてする筈も無くにこ、と微笑んで踵を返し駆けて行きました。

「…正臣ってスゴいね」
「なんだよ帝人、俺のスゴさにやっと気付いたのか?」

心なしか冷たい視線で正臣君を一瞥した帝人君は、身振り手振りで喋り続ける正臣君を無視して自分のお弁当へ戻りました。それを見た杏里ちゃんも、もそもそ小さなお口でコンビニおにぎりを咀嚼し始めます。ちぇ、と小さく舌打ちして拗ねてしまった正臣君もがさがさと購買のパンを開けてかぶりついたのを確認して、私も自分のお弁当に箸をつけました。
ちなみに、誤解の無いように弁明しておくと、青葉君がわざわざおつかいに行ってくれるのは私の強制ではなく彼の熱烈な立候補によるものです。
今ではすっかり慣れて定着してしまいましたが、彼がおつかいをかってでてくれる様になった当初は後輩にそんな事をさせるのは申し訳ないと断っていたのですが、断っても断っても食い下がる彼に疲れてしまったのと、絆されてしまった自分に負けて頼んでしまったのが今もこうして続いているのです。
そうして、十数分の間和やかに続いた食事の時間は、頼んだ飲料を抱えた青葉君によって中断されました。

「先輩っ!買って来ました!」

走ってきたのか薄らと赤みが差す頬を緩めながら小走りに駆け寄って来る彼は、擦れ違い様に正臣君にコーラを投げ付け、おつかいを頼む前と同じ様に足元に跪いてじっ、と何かを期待する目で見つめて来ました。若干眉を顰めた正臣君は慎重にコーラを受け止め一旦隣に置いて帝人君に、なぁこれ開けて大丈夫だと思うか、午後の授業コーラ塗れで受けたいならね、だよなぁ、という相談を聞きながら、溜息を吐いて青葉君を見下ろします。
彼のおつかいは買って来てハイおしまい、とはいかないのです。
まず、彼から渡されたペットボトルを確認します。
うん、確かに緑茶とアップルジュースですね。
確認した後は、良く出来ました、と言って頭を撫でてあげます。そうすると、気持ち良さそうに目を細め、私の手に擦り寄る様に頭を寄せてくるので彼が満足するまで優しく優しくよしよし、と口に出しながら撫でてあげるのです。
次に、ご褒美です、と微笑んで今しがた彼が買って来たばかりのリンゴジュースのキャップを開けて手渡してあげます。
嬉しそうに笑ってこくこくとペットボトルの中身を減らしていく青葉君を見ているのですが、そこでなんとなく悪戯心といいますか、少し意地悪がしたくなりまして。
美味しそうに青葉君が飲んでいるペットボトル。
その底の部分に手を添えて、軽く。本当に軽く、彼の口へ押し込んでみました。

「っう、ぐ!?ごほっ、げほ!!」
「なまえさああぁぁん!?」
「あらあら、青葉君たら落ち着いて飲まないとダメですよ?」

帝人君の絶叫をBGMに涙目で咳き込む青葉君に、優しく声を掛けて背中を擦ってあげるとありがとうございます、と照れ臭そうにはにかむ彼に微笑み返してあげると、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴りました。
私のお弁当を持ちたがる彼に甘える事にして、軽くなったお弁当箱が入った手提げを彼に預けてから何故か三人固まって震えている帝人君達を促して教室に戻りました。



 ***



さて、時間は流れてその日最後の授業を目前に控えた10分の休み時間中。
ぴろん♪とメール着信を知らせる私の携帯が鳴り、画面を確認するとやはりそこにはメールが一通。
一応開いて内容を確認して、待ち合わせ場所を覚えて携帯を閉じます。
席を立ち、荷物を纏めながら隣の席の正臣君に伝言を頼みます。

「すみません正臣君、急な呼び出しなのでフォローお願いします」
「おう、任せとけ!他ならぬなまえの頼みだからな、その代わりなんか奢れよ?」
「ありがとうございます」
「ついでに、理由は聞いてもいいのか?」
「えーと、お見舞いですね。知り合いの」
「そっか、お大事になー」

ひらひらと手を振って送り出してくれた正臣君に感謝しつつ、教室を出てまっすぐ体育館へと向かいます。
運良く、というか彼の目論見通りこの時間体育の授業は無いらしくしん、と静かな体育館を抜け奥の体育器具室へ。
中で待っていた彼は、扉を開けた私の姿を見た途端座っていたマットから立ち上がりぱたぱたと駆け寄って来ました。

「なまえ先輩、来てくれたんですね」
「まあ、いつもの事ですから」
「優しいなぁなまえ先輩、だから好きですよ」
「ありがとうございます」

軽く私の左手を取って引き、今まで彼が座っていたマットの上へ導かれそのままそこに腰を下ろします。
そして、まるで姫君に忠誠を誓う中世の騎士の様に手の甲に唇を寄せ、薬指に甘噛みされました。

「こら、遊んでないでさっさと始めますよ」
「はい、」

笑って、彼が自らの右手に巻かれた包帯を解きます。しゅる、と解かれた僅かに血が滲んでいるまっしろな布の下からは一応出血は止まっているものの、まだまだ塞がりきっていない傷痕が晒されます。
驚く事に彼の右手にはボールペンが貫通して出来た穴が開いているのです。
彼に事情は聞いて見ましたが、転んだ拍子に手をついた所に運悪く立っていたボールペンが貫通する勢いで刺さるものでしょうか。

「何度見ても、痛そうですね」
「痛いですよ。だから、なまえ先輩にお願いしてるんじゃないですか」

消毒して下さい、って。
笑顔で僅かに小首を傾げながら強請る彼の差し出された右手を受け取り、ぺろ、と薄く瘡蓋が張っている傷を舐めます。
ひくん、と青葉君の男の子にしては華奢な身体が跳ね、うっすらと頬が上気しています。
その反応を気にする事無く傷の周りにも唾液を塗す様に舌を這わせ、時折ちゅ、と音を立てて吸い上げるとその度に青葉君は身体をひくつかせ、もっと、とでも言う様にとろんとした目で見上げてくるのでした。
十分に傷を舐めた後は、瘡蓋のふちに歯を引っ掛けてゆっくりと剥がしていきます。

「ぅ、あ…っ」

痛みから小さく呻く青葉君ですが、私から手を遠ざけようとはしないのはいつもの事です。かりかりと小刻みに歯を動かすと剥がれかけた瘡蓋から血が滲んで、口内にじわりと鉄錆の味が広がります。
せんぱい、と呼ばれ、左手で私のスカートを握り締める青葉君は、痛みからか眉を寄せているものの、その顔はやっぱりどこかに期待を覗かせていました。

そんなに物欲しそうな目で見なくてもちゃんとしてあげますよ。

という意味で微笑めば、青葉君の口元にも薄らと笑みが浮かびました。

「いぁ、あ゙!」

半分程剥がれた瘡蓋を歯で挟み、残りを一気に引き剥がします。
ぴりっ、という微かな音と共に滲み出した血液を舐め取り、再び孔が開いてしまった掌の傷に舌を捻じ込みます。

「い、た…ッ!せんぱ、いっ、痛ぁ…あ!」

ぐりぐりと舌で傷を拡げる様に穿つと反射的に手を引こうとしますが、それを許さず舌で抉り続けるとより一層血の味が広がり青葉君の身体がびくびく跳ねて我慢出来なくなったのか嫌、という言葉が聞こえてきました。
しまった、という顔をして慌てて口を塞ぐ彼に微笑み返して手を解放し、持ってきたカバンの中から消毒液と包帯を取り出し、掌に巻いていきます。

「残念、今日はココまでです」
「ちぇ、酷いですよなまえ先輩、あんなぐりぐりされたら普通痛いです」
「その痛い事をわざわざ私にやらせているのは君の方でしょう」

至極残念そうにぼやいて大人しく手当される彼の手に巻き付けながら溜息を吐いて、傷口に爪を立てて窘めると彼は悲鳴を上げて涙目で恨みがましく見上げてきました。

「大体、こんな事続けてたら治るものも治りませんよ」
「えー、でも治っちゃったらなまえ先輩にこんな事して貰えないじゃないですか」
「馬鹿な事言ってないで、終わったなら帰りますよ」
「ねぇ、なまえ先輩」

包帯を巻き終え、余った包帯と消毒液をカバンにしまって立ち上がろうとした私の手を掴んで引き留めた彼は、普段の取り繕った笑顔でも、私に見せる従順な笑みとも違う、狡猾で妖艶な猫の様な微笑みで歌う様にお決まりの文句を並べ立てるのでした。

「俺は今日もとても良い子だったでしょう?明日も貴女の言い付け通りの良い子で居てあげますから、また可愛がって下さいね?」

大好きです、なまえ先輩。
そう締め括る彼は、やはりレッサーくんだなぁと思うに相応しい顔をしていました。
けれど、この『ご褒美』のために私の無理難題を叶えるべく尽力する彼の健気な愚かさがどうしようもなく愛おしくて、心の底から可愛いと思ってしまっている私もきっと同じ様な顔をしているのでしょう。

「可愛い後輩の頼みですから、その傷が治るまでは付き合ってあげますよ」

にこ、と笑いながら頭を撫でれば、彼はそれはそれは愉快そうに笑うのでした。













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むっつりドSな先輩と、そんな先輩に気に入られたい青葉にゃんです。
あんまり青葉が尽くしてないですね!甘くも無い気がします。
レノ様素敵なリクエストありがとうございました!




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